セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎6)

タイトル 消P-480:

潰瘍性大腸炎に対するアドレノメデュリン療法(続報)

演者 芦塚 伸也(宮崎大附属病院・1内科)
共同演者 仮屋 暢人(宮崎大附属病院・1内科), 三宮 一朗(宮崎大附属病院・1内科), 原口 大(宮崎大附属病院・1内科), 三木 吾郎(宮崎大附属病院・1内科), 星子 新理(宮崎大附属病院・1内科), 松本 英丈(宮崎大附属病院・1内科), 中島 孝治(宮崎大附属病院・1内科), 稲津 東彦(宮崎大附属病院・1内科), 北村 和雄(宮崎大附属病院・1内科)
抄録 【背景】アドレノメデュリン(AM)は組織虚血障害により誘導され,強力な血管拡張作用を有する生理活性ペプチドである.AMは心血管保護作用の他,血管新生作用,抗炎症作用,抗菌作用などの生理機能を有し,炎症性腸疾患モデル動物に対し腸炎改善効果を有する.我々は当院倫理委員会承認の下,潰瘍性大腸炎(UC)患者に対するAM持続静注療法(臨床研究)を開始し,2011年JDDWにおいて第一例目を報告した.その後,症例が集積されたため,経過を報告する.
【方法】
[対象] 難治性UC(ステロイド抵抗性,依存性)で,かつ免疫調整剤・生物学的製剤の使用が不適当な症例.
[投与法] AM 1.5 pmol/kg/min,8時間/日,14日間.
[主要評価項目] Disease activity index (DAI).改善:30%以上かつ3ポイント以上減少,寛解:2以下かつすべてのサブスコアが1以下.
【結果】
[背景] 症例:8症例(投与回数10回),年齢中央値:61歳(37-68歳),性別:男性4名・女性4名,病型:全大腸型 4名,左側結腸型 4名,入院時重症度:重症4名・中等度 4名,AM療法直前の重症度:重症 2名,中等症 6名.
[評価]8例中1例途中脱落.AM療法2週目の改善率62.5%,12週目の寛解率62.5%.脱落例を除くAM投与直前DAI: 8.9±1.3,AM療法2週後DAI 4.7±2.3,12週後DAI 1.0±1.2.
[内視鏡所見] 8例中6例で炎症改善傾向が得られ,潰瘍の縮小~瘢痕化が認められた.著効例では広範囲潰瘍病変は網目状に瘢痕化した.
[有害事象] 軽度の血圧低下と心拍数上昇以外の明らかな有害事象は認めなかった.
【総括】UCに対するAM療法は有効と考えられた.AMは生理活性ペプチドであり安全性が高く,抗炎症作用に加え,血管新生,血流改善という既存の治療とは異なる機序を有しており,新規治療薬として発展しうる可能性がある.
索引用語 潰瘍性大腸炎, アドレノメデュリン