セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎6)

タイトル 消P-484:

潰瘍性大腸炎における大腸粘膜組織中のHO-1,CD163およびCD204の発現に関する検討

演者 須藤 訓(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科)
共同演者 宮崎 民浩(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 板垣 宗徳(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】これまで我々は抗酸化・抗炎症作用を有するHemeoxygenase-1(HO-1)およびscavenger receptorであるCD163,CD204の炎症性腸疾患における役割を報告した.今回,HO-1,CD163,CD204 の3者を統計学的に比較し潰瘍性大腸炎における特徴と臨床的意義について検討した.【方法】当施設に通院中の潰瘍性大腸炎患者34例(男/女16/18 平均年齢49.9±16.0歳)を対象とした.治療評価目的に施行した内視鏡検査の際に採取した生検組織をモノクロナール抗体を用いて免疫染色し,X400倍の視野で観察される陽性細胞数を10視野分カウントし平均値を算出した.また染色域は粘膜上皮直下,瀰漫,混在型の3つに分類し,染色強度は半定量的に評価した.3者を臨床的活動度,内視鏡的活動度,病理学的活動度,病型,染色域別にそれぞれ分散分析施行後,多重比較検定(Bonferroni)を行った.【結果】HO-1,CD163,CD204間の検討では臨床的活動度,病理学的活動度,病型では有意差を認めなかった.また,内鏡的活動度にてHO-1に比しCD163,CD204の陽性細胞数が有意に多かった(p=0.002).これまでの我々の検討では,HO-1,CD204は内視鏡的活動度および病理学的活動度の低い状態で,粘膜直下に発現する傾向がみられ,病理学的活動度が低いと有意に陽性細胞は多く,またCD204は病理学的活動度が低いと染色度も強く,臨床的緩解期にて有意に陽性細胞が多かった.これをふまえ粘膜直下型かつ病理あるいは内視鏡的活動度の低い群でも検討を行ったが,有意差は認めなかった.【結論】HO-1はCD163と連関して抗炎症作用を促し,抗炎症作用を有する活性化マクロファージ(M2)はCD163,CD204を強く発現することが知られている.今回の検討ではCD163,CD204はHO-1に比し内視鏡的緩解期に有意に発現していた.これまでの我々の検討と併せると,潰瘍性大腸炎において緩解期には,活性化マクロファージ(M2)が発現増強することで炎症防御を補完し,緩解維持に関与する可能性が示唆された.
索引用語 潰瘍性大腸炎, scavenger receptor