セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎7)

タイトル 消P-486:

tacrolimusおよびinfliximabの効果比較からみた難治性潰瘍性大腸炎における両薬剤の使い分け

演者 川上 瑶子(東北大・消化器病態学)
共同演者 志賀 永嗣(東北大・消化器病態学), 只野 敏浩(東北大・消化器病態学), 平本 圭一郎(東北大・消化器病態学), 奈良 志博(東北大・消化器病態学), 松下 勝則(東北大・消化器病態学), 宮澤 輝子(東北大・消化器病態学), 下平 陽介(東北大・消化器病態学), 諸井 林太郎(東北大・消化器病態学), 長澤 仁嗣(東北大・消化器病態学), 遠藤 克哉(東北大・消化器病態学), 高橋 成一(東北大・消化器病態学), 木内 喜孝(東北大・消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大・消化器病態学)
抄録 【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対する内科治療としてtacrolimus(Tac)とinfliximab(IFX)があるが,両薬剤の使い分けは確立していない.Tacはより迅速な寛解導入が図れるもののトラフ値の調整が煩雑であり,投与期間の縛りからチオプリン製剤へ移行することが多い.そのためチオプリン製剤未投与例や入院治療を要する中等症以上の症例ではTac,チオプリン製剤投与中で外来治療が可能な中等症を中心とした症例ではIFXを選択するバイアスがかかることが多い.実際にはこの限りではないが,TacとIFXの効果を比較し,両薬剤の使い分けを検証することとした.
【対象】難治性UC70例(Tac群/IFX群=38/32例).
【方法】Sutherland index(DAI)を用い治療効果を比較した.寛解をDAI≦2とした.Tac群は開始4週までにチオプリン製剤を併用し,12週でTac終了とした.
【結果】男性22/21人,平均年齢30.5/33.2歳,平均罹病期間4.5/6.5年,チオプリン製剤併用3/8人であり,PSL抵抗性:依存性はTac群24:14例,IFX群11:21例であった.投与前DAI[8.4(4-11)/7.3(4-10)]と8週後DAI[3.4(0-11)/3.3(0-9)]から寛解導入率をみると,Tac群の方がやや高かった[50.0%(19/38例)/37.5%(12/32例)]. 30週後のDAIから寛解維持率をみると, 同等であった[50.0%(10/20例) /52.4%(11/21例)].54週後,Tac群の多くが他治療に移行したが,IFX群の多くは継続投与され,効果減弱が少なからず存在した.
【結語】Tac,IFXは共に高い寛解導入・寛解維持効果を有していた.前述の使い分けは妥当と考えられたが,Tac投与例におけるチオプリン製剤への円滑な移行,IFX群が効果不十分な場合の対策が今後の課題と考えられた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス