セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎7)

タイトル 消P-489:

当院の外来タクロリムス治療の有効性と安全性についての検討

演者 有光 晶子(インフュージョンクリニック)
共同演者 伊藤 裕章(インフュージョンクリニック)
抄録 【目的】タクロリムスは,手術適応となるようなステロイド依存性,抵抗性を示す難治性活動期潰瘍性大腸炎(UC)においても有用性が認められている.当院におけるタクロリムス治療の有効性を検討し,外来でのタクロリムス治療の安全性についても検討した.【方法】当院でタクロリムス治療を行ったUC11例について,患者背景,寛解導入率やステロイド離脱率,副作用内容を後ろ向きに調査し,有効性・安全性について検討した.タクロリムスは添付文書に従い3カ月で中止した.治療は全例外来で行い,血中トラフ濃度は外注検査で測定した.【成績】2010年9月から2013年1月までに当院でタクロリムス治療を行ったUC患者は11例で,UC病歴(中央値)は6年であった.治療中止例は3例で,中止理由は腎機能障害1例,増悪し手術2例であった.残り8例は寛解導入に成功(Partial Mayo score;治療前5.5,治療後1(中央値))し,ステロイド使用中であった8例のうち5例はタクロリムス治療中にステロイド離脱可能(離脱率62.5%)であった.治療終了後,2例は5ASA内服のみで寛解を維持でき,他6例は再燃はあったが免疫調節薬などの内科的治療で維持できている.また,全例外来で治療を行っているが,タクロリムス治療開始日から終了までの約3カ月の間の訪院回数は12回(中央値),高トラフに至る日数は7日(中央値)であった.副作用については,腎機能障害(Cr1.05mg/dl,BUN24.2mg/dl)がみられた1例は治療開始後57日目に治療を中止した.その他,軽度の振戦,ほてりはみられても治療中止に至った症例はなかった.【結論】外来で,外注検査を用いて血中トラフ濃度を測定し,それをもとに調節した標準的用法用量によるタクロリムス治療でも,安全に行うことが出来,有効であると思われた.
索引用語 タクロリムス, 潰瘍性大腸炎