セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎8)

タイトル 消P-493:

潰瘍性大腸炎の増悪に伴い,静脈血栓塞栓症の合併を来たした2例

演者 隅野 有香(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 吉田 裕幸(西神戸医療センター・消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科), 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科)
抄録 【はじめに】炎症性腸疾患は全身炎症の亢進,ステロイド剤の使用,脱水,長期臥床などの誘因により,静脈血栓塞栓症の高リスク群に入り,発生頻度は1.3-39%と報告されている.潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis以下UC)に静脈血栓塞栓症を合併した場合は血便を認めても抗凝固療法が必要とされ,双方の管理が困難となりうる.今回2012年当院で経験した,UCの増悪に合併した静脈血栓塞栓症2例を紹介し,今後の対策について文献的考察を加え報告する.【症例1】39歳女性 <主訴>発熱・血便 <経過>UCで外来通院中,2012年11月発熱・血便を認め,緊急入院となった.長期絶食のためday15左上腕からPICC(peripherally inserted central catheter)を留置した.day23左胸痛と左肩関節痛,左上腕の腫脹を認め,PICC感染を疑い,カテーテルを抜去したが症状増悪し,day 24CT検査で左腕頭静脈から左内頚静脈内に広範な血栓形成を認めた.抗凝固療法開始後,血栓は退縮し,消化器症状も改善を認め,day45退院した.以後UCは再燃なく,ワルファリン継続中で血栓増大は認めていない.【症例2】47歳男性 <主訴>下痢・血便 <経過>2012年5月下痢と血便を主訴に受診し,初発の重症型UCと診断され,day3CT検査では横行結腸の著明な拡張(最大径10cm)を認めた.G-CAP療法導入後,症状は著明に軽快するもday32CT検査で門脈及び肝静脈内に多発血栓を認めた.抗凝固療法開始後,血栓は縮小しday82ワルファリン中止後も血栓の増大は認めなかった.横行結腸は最大径5cmまで改善し,day113退院した.現在も外来通院中で症状再燃や新たな血栓は認めていない.【考察】活動期のUCは凝固線溶系の異常を来たしやすいことを常に念頭に置き,炎症が続く間は定期的に血液検査で確認し,異常値を認めれば早期に全身の血管系を評価し,CVC(central venous catheter)やPICC留置時は血栓形成について定期的な評価が必要である.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 静脈血栓塞栓症