セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎8)

タイトル 消P-496:

炎症性腸疾患患者に合併した静脈血栓塞栓症の検討―多施設(OGF)共同研究―

演者 中村 昌司(大阪労災病院・消化器内科)
共同演者 小森 真人(大阪労災病院・消化器内科), 飯島 英樹(大阪大・消化器内科), 木下 和郎(住友病院・消化器内科), 北村 信次(市立堺病院・消化器内科), 三木 貴夫(近畿中央病院・消化器内科), 林 英二郎(近畿中央病院・消化器内科), 西田 勉(大阪大・消化器内科), 辻井 正彦(大阪大・消化器内科), 吉原 治正(大阪労災病院・消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大・消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)など炎症性腸疾患(IBD)患者は増加の一途を辿っている.合併症の一つとして静脈血栓塞栓症が知られているが,詳細は不明な点も多い.我々は経験症例を基に,IBD患者における静脈血栓塞栓症の特徴につき検討した.【方法】対象は,Osaka Gut Forum(OGF)25施設で2008年以降に静脈血栓塞栓症を合併したIBD患者6例(年齢34-80歳[中央値64歳],男性2例,女性4例).【成績】内訳はUC4例,CD2例であった.6症例中5例において静脈血栓塞栓症発症時期は,急性増悪期もしくはその直後であった.発見契機は,下腿浮腫3例(1例は肺塞栓症合併),背部痛1例(下腿深部静脈血栓症合併),全身倦怠感1例(肺塞栓症),無症候性1例(肺塞栓症と下腿静脈血栓症)であった.発症時,血清プロテインC(PC)・S(PS)は4例で測定されていた.1例はPC49%と軽度低下していたが(PSは未測定),3例はPC・PSともに正常値であり,予測因子になり得ない可能性が示唆された.発症時,ステロイド内服中の患者は4例であった.治療として,抗凝固剤(ヘパリン,ワルファリン)が投与された4例は全ての症例において血栓は縮小もしくは消失し,1例は縮小するもIVCフィルター挿入にて追加加療を行った.抗凝固剤が投与されなかった2例においてはIVCフィルターが挿入された.【結論】炎症性腸疾患患者,特に急性増悪期においては,静脈血栓塞栓症合併のリスクを念頭に置き診療する必要性があることが示唆された.治療として抗凝固剤は有効である可能性が高く,出血リスクも念頭におき総合的に判断し投与すべきであると考える.
索引用語 炎症性腸疾患, 静脈血栓