セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎9)

タイトル 消P-498:

難治性潰瘍性大腸炎に対する早期飽和法を用いないタクロリムス投与法

演者 藤井 庸平(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科)
共同演者 吉野 廉子(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 岡 政志(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 塩川 慶典(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 内田 義人(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 繁田 貴博(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 平原 和紀(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 打矢 紘(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 中澤 学(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 近山 琢(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 安藤 さつき(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 水野 芳枝(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 菅原 通子(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 濱岡 和宏(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 本谷 大介(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 藤盛 健二(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 稲生 実枝(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 中山 伸朗(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 今井 幸紀(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科)
抄録 【目的】わが国では中等症,重症の潰瘍性大腸炎の治療で副腎皮質ステロイドが頻用されているが,ステロイド依存例および抵抗例には,生物学的製剤とともにタクロリムスが投与されている.しかし,タクロリムスを投与する場合には,血中トラフ値の測定が必須であり,これが治療スケジュールを設定する際の障壁になる.そこで,タクロリムスを投与した潰瘍性大腸炎症例を解析し,有用な投与法について検討した.
【方法】対象は潰瘍性大腸炎21例(男:女=11:10)で平均年齢(±SD)は45±19歳.病変部位は全大腸炎型17例,左半結腸炎型4例で,病型は初回発作型3例,再燃寛解型15例,慢性持続型3例.これらのうち14例はステロイド依存性,6例が抵抗性と診断され,1例はステロイド治療拒否のためタクロリムス導入した.添付文に従って投薬を開始,血中トラフ値を院内の迅速薬物濃度検査で測定し,適切な用量を設定した.臨床的改善度はCAIスコアで評価した.
【成績】ステロイド依存性は9例(64%)で,抵抗群は4例(67%)で寛解ないし臨床的改善が得られた.中止例は3例で,依存性の2例はうつ病としびれが,抵抗性の1例は緊急手術を実施したことが原因であった.中止例を除く全症例でプレドニゾロンは10 mg/日以下に減量可能であった.有効血中濃度への到達日数は平均7.3日であった.
【考察と結語】タクロリムスはステロイド依存性ないし抵抗性の難治性症例に対して有用である.投与スケジュールの変更には通常は日数を要し,早期飽和法を導入している施設が多いが,入院して迅速薬物濃度検査を実施することで,治療開始7日までに3回の投与量変更が可能であった.これによって,早期に有効トラフ値を達成することが可能であり,添付文に準拠した投与法でも早期に寛解導入が可能であった.
索引用語 タクロリムス, 難治性潰瘍性大腸炎