セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎9)

タイトル 消P-500:

潰瘍性大腸炎関連腫瘍に関するhigh risk因子の検討

演者 吉野 琢哉(京都大大学院・消化器内科学)
共同演者 八隅 秀二郎(北野病院・消化器センター消化器内科), 仲瀬 裕志(京都大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】我が国における炎症性腸疾患の罹患率は,年々増加の一途を辿っている.長期経過および慢性持続性炎症性腸疾患では,colitic cancerの発生率が高いことが知られている.従って,colitic cancerのサーベイランス法の確立のみならずhigh risk群の同定は重要な臨床課題である.【目的】潰瘍性大腸炎関連腫瘍合併患者の臨床的特徴についての検討.【方法】平成15年4月から平成25年2月まで通院中の潰瘍性大腸炎患者493名のうち,dysplasiaを含むcolitic cancerを合併した10名を対象とした.年齢中央値は60歳,男性7名,女性3名であった.患者背景因子として,罹患範囲,罹病期間,総ステロイド投与量,サイトメガロウイルス(CMV)感染や原発性硬化性胆管炎合併の有無,dysplasiaもしくはcolitic cancer診断時CAI score及び粘膜治癒の有無が潰瘍性大腸炎関連腫瘍の予測因子となるかについて検討を行った.【結果】10名中8名(80.0%)は全大腸炎型であった.平均罹病期間は9.5年(0.3年~15年),罹患歴10年以上の患者は7名(70%)であった.平均ステロイド総投与量は8.3±4.0gであり,ステロイド総投与量10g以上の患者は3名(30.0%)であった.ステロイド抵抗・依存の難治症例は4名(40.0%)であった.dysplasiaもしくはcolitic cancer診断時,10人中6人(60%)は臨床的寛解および内視鏡的粘膜治癒が認められなかった.CMV感染歴のある患者は10名中2名であった.原発性硬化性胆管炎合併は1名に認めた.【結語】ステロイド抵抗・依存の難治例および広範な罹患範囲が,潰瘍性大腸炎関連腫瘍の予測因子であると考えられた.今回の検討結果より,臨床症状の改善のみならず,粘膜治癒も含めた治療ストラテジーの構築が重要であると考える.
索引用語 潰瘍性大腸炎, colitic cancer