セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎9)

タイトル 消P-502:

Colitic cancer5例の検討

演者 松井 啓(虎の門病院・消化器内科)
共同演者 小川 修(虎の門病院・消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科)
抄録 【目的】当科で経験したColitic cancerの臨床病理学的特徴を明らかにする.【方法】2013年2月までに当科で診断,治療したColitic cancer症例のうち治療後も定期的に通院している5例6病変を対象とし,その臨床病理学的特徴を後ろ向きに検討した.【結果】男女比は2:3.UC発症平均年齢は31.2±9.4歳.Colitic cancer発症平均年齢は47.6±2.2歳.Colitic cancer発症までの平均罹病期間は16.4±8.4年で最短が5年であった.全例が全大腸炎型,再燃寛解型であった.Colitic cancer発症時のMayo scoreの平均値は2.2±2.4でUCの活動性は低かった.内視鏡scoreも平均0.8±0.5で0または1の症例のみであった.1例のみ2病変あり,4例にdysplasiaが併存した.癌の局在は直腸4病変,S状結腸2病変.全例白色光+色素内視鏡観察によるtarget biopsyで認識した.肉眼型は1例が3型でほかは隆起型であった.平均腫瘍径は29.1±19.0mm,早期癌は全例分化型癌であったが,進行癌の1病変のみ低分化型腺癌有意の混在型であった.治療はEMR1例,ESD2例,左半結腸切除術1例,腹腔鏡下高位前方切除術1例であった.EMRをおこなった1病変は,1年の経過でLGDから深逹度がsm, 2300μmのColitic cancerとなり,追加でS状結腸切除術を行った.ESDを行った1例は水平切除断端が陽性であったため追加のESDを行った.平均観察期間は89.3±90.5カ月で,全例無再発である.【結論】罹病期間が10年以下で,UCの活動性が低くてもColitic cancerを発症した症例や短期間でLGDからcolitic cancerとなった病変を経験した.経過観察目的の内視鏡検査をするときはColitic cancerの発症を常に念頭に置くことが望ましいと考えた.Colitic cancerの標準治療は大腸全摘出術である.内視鏡的治療の適応についてはより慎重に判断すべきと考えた.
索引用語 Colitic cancer, 潰瘍性大腸炎