セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎10)

タイトル 消P-504:

潰瘍性大腸炎術後pouchitis発症の予測に関する検討

演者 伊藤 貴博(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
共同演者 坂谷 慧(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 田中 一之(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 堂腰 達矢(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 安藤 勝祥(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 嘉島 伸(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 上野 伸展(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 富永 素矢(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 稲場 勇平(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 盛一 健太郎(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 田邊 裕貴(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 藤谷 幹浩(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 河野 透(旭川医大・消化器病態外科), 高後 裕(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)術後のpouchitisの発症機序や病態生理には依然不明な点が多い.当院でのUC術後pouchitisの発症状況,発症に関与する背景因子や発症の予測因子について検討する.【方法】当院で1993年より2008年までに大腸全摘術を施行されたUC患者96例のうち,2期または3期手術で人工肛門閉鎖術後に内視鏡検査を施行しpouchitisを「発症していない」と判断された31例(36回の内視鏡検査)について臨床的背景及びpouchやその口側回腸の病理学的検討を行った.【成績】手術方法は全例回腸J-pouch肛門吻合(IAA)であった.UC発症時の平均年齢は33.6歳(16-60歳),大腸全摘術時の平均年齢は41.1歳(19-61歳),手術までの平均罹病期間は88.9か月(3-274か月),手術時全大腸炎型84%,左側大腸炎型16%であった.内視鏡検査時のPochitis Disease Activity Index(PDAI)は平均4.6,病理所見を除いたmodified PDAIは平均1.7であった.内視鏡検査後観察期間内に17例がpouchitisを発症した.pouchitisを発症した群としなかった群で性別,UC発症年齢,手術時年齢,罹患範囲,罹病期間で差はなかった.また,術前の治療内容による検討ではステロイド総投与量,6MP/AZAやサイクロスポリン使用の有無,白血球除去療法の施行の有無によりpouchitisの発症率に差はなかった.カプランマイヤー法で検討したところ,pouch内の内視鏡所見(厚労省診断基準)及び組織所見とのちのpouchitis発症との関連性は認められなかったが,pouch外の口側小腸において組織学的に炎症所見を強く認めたものほどのちにpouchitisを有意に発症しやすかった(p=0.0083).【結論】Pouchitisがなくても口側小腸に高度の組織学的炎症が存在する場合は短期間のうちにpochitisを発症する可能性があり厳重なfollowが必要であると考えられた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, pouchitis