セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎10)

タイトル 消P-505:

Colitic cancerにおける診断法と臨床病理学的検討

演者 黒河 聖(札幌厚生病院・1消化器科(胃腸科))
共同演者 今村 哲理(札幌厚生病院・1消化器科(胃腸科))
抄録 はじめに:現在,潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過症例では炎症を背景に,colitic cancerのリスクの増加も確実に指摘されている.しかし慢性炎症を背景とするため,内視鏡的な質的な診断も難しく早期発見も容易ではないが,ここ数年,癌化リスクの啓蒙にて早期で発見される報告も多くなってきている. 目的:当院で経験したUCに合併したcolitic cancerの臨床病理学的特徴と,最近の傾向および早期発見方法について検討する. 対象と方法:当院において1984年から2012年までに経験したUCに合併したcolitic cancer(15例)を対象に臨床病理学的特徴と内視鏡所見を検討する. 結果:UC合併癌の年齢及び性別は,平均48.2歳(18-63歳),性比(M:F)は8:7.UCの病型は全大腸炎型13例.左側大腸炎型2例.臨床経過では全例再燃緩解型であった.病変発見時までの平均罹病期間は22年9ケ月(5-24年).占拠部位は上行結腸2病変,横行結腸1病変,S状結腸3病変,RS4病変,直腸6病変(重複症例有り).組織学的病期はStageO(5例),I(1例),II(1例),IIIa(4例),IIIb(2例),IV(2例).UC合併癌でのdysplasiaの併存は8例に認めた.病変発見契機としては9例がサーベイランスにて,残りの6例は有症状にて発見された.内視鏡検査で発見された全例は狙撃生検にて診断された.予後は原病死3例,12例生存.内視鏡所見(14例)は,平坦隆起型5病変,隆起型6病変,管腔狭窄型4病変.まとめ:当院で経験したUC合併癌は,最近の症例では比較的早期発見されている.臨床的危険因子を考慮し定期的なサーベイランスと通常,色素観察における狙撃生検が有用と考えられた.ただ,検査に対する患者側の受容性も重要であり,また質的内視鏡診断が不可能な症例も存在するため今後のモダリティの開発が期待される.
索引用語 colitic cancer, サーベイランス