セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍1)

タイトル 消P-508:

大腸腫瘍の内視鏡治療後の長期経過

演者 木村 聖路(国保三戸中央病院・内科)
共同演者 田中 正則(弘前市立病院・臨床検査科), 濱舘 貴徳(弘前大大学院・消化器血液内科学), 福田 真作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【目的】大腸腺腫,粘膜内癌の内視鏡的切除後の長期経過において,再度治療を要する腺腫(5mm以上,低異型度腺腫)またはindex lesion (10mm以上,高異型度腺腫,癌),浸潤癌の発生する頻度を検討した.【方法】内視鏡治療した腺腫または粘膜内癌患者で,初回治療後1年以上の間隔を空け経過観察した403例を対象とした.それらを初回低異型度腺腫切除群(A群)279例,高異型度腺腫または粘膜内癌切除群(B群)124例に分類し,両群におけるその後の経過観察の結果(再治療,index lesion,浸潤癌発生の有無)について比較した.なお内視鏡治療の適応はsemi-clean colonの概念で行った.【成績】年齢性別はA群66.1歳,1.54:1,B群66.5歳,1.64:1でほぼ同様だった.経過観察期間はA群77.4月,B群66.1月であり,A群がやや長いが有意差はなかった.期間中semi-clean colonが保たれたのは,A群279例中163例(58.4%),B群124例中62例(50.0%)であり,両群間に有意差はなかった.再治療を要する5mm以上の腺腫または癌が発生したのはA群116例(41.6%),B群62例(50.0%)で,初回治療からの観察期間はA群54.5±51.6月,B群41.2±47.9月であり,B群が有意に短かった(p<0.05).その中でindex lesionを治療したのは,A群45例(38.8%),B群34例(54.8%)であり,B群で有意にindex lesionが多く発生した(p<0.05).しかし浸潤癌に関しては,観察期間中再治療を要したA群116例中5例(4.3%),B群 62例中1例(1.6%)の頻度で発生した.有意差はないものの,むしろ初回に低異型度腺腫を切除した患者に浸潤癌が発生しやすく,発生までは115.5±68.7月の観察を要した.【結論】腺腫または粘膜内癌患者を初回治療した場合,経過観察中に再治療を要する腫瘍の発生頻度に差はないが,再治療までの時間やindex lesionの頻度は,初回の病理所見で有意差を認めた.ただし浸潤癌の発生に関しては,初回治療の病理所見に関わらず5年以上の経過で発生する可能性が考えられた.
索引用語 大腸癌, サーベイランス