セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍1)

タイトル 消P-510:

大規模健常者コホートにおける大腸ポリープの背景因子の横断解析―Helicobacter pylori感染との相関

演者 坂口 賀基(東京大・消化器内科)
共同演者 山道 信毅(東京大・消化器内科), 高橋 悠(東京大・消化器内科), 藤城 光弘(東京大・消化器内科), 浅田 慈子(東京大・消化器内科), 山地 裕(東京大・消化器内科), 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】近年,Helicobacter pylori (HP) 感染に伴う大腸ポリープ発生のリスク上昇の可能性が報告されているが,我が国における疫学的検討は少ない.そこで我々は大規模人間ドックを受診した健常成人を対象に,HP感染と大腸ポリープの関連を検討した.【方法】2010年における単施設のドック受診者のうち全結腸検査を施行された3476人を対象に,血清HP抗体検査,血清ペプシノゲンI/II値,一般血液検査,既往歴,様々な生活習慣などからなる17の背景因子と大腸ポリープとの関連を検討した.17因子を説明変数,大腸ポリープを目的変数としてχ2乗検定及びロジスティック回帰による単変量解析を行い,明らかな交絡因子を除外後,標準化ロジスティック回帰分析による多変量解析を行った.【結果】データ欠損者及びNSAID常用者を除外した解析対象3156人(男性2403人,女性753人,平均年齢55.4±9.1歳)のうち,大腸ポリープは1147人(36.3%)に認め,血清HP抗体陽性者は1136人(36.0%)であった.単変量解析では,年齢,性別,BMI,HbA1c,TG(中性脂肪)値,Brinkman index,飲酒頻度,HP抗体定性,ペプシノゲンI/II比が有意であった(p<0.05).HP抗体定性と交絡するペプシノゲンI/II比を除いた8因子について多変量解析を行ったところ,Brinkman index(標準化偏回帰係数SC 0.287,p値<0.0001),男性(SC 0.266,p<0.0001),高齢(SC 0.251,p<0.0001),HP抗体陽性(SC 0.126,p=0.0011),BMI(SC 0.125,p=0.0029),飲酒頻度(SC 0.117,p=0.0055),TG値(SC 0.099,p=0.0135)の順に,大腸ポリープと有意に正相関する因子であった.【結論】大規模健常者コホートの横断解析から,大腸ポリープと正相関する因子として,喫煙,男性,高齢,HP抗体陽性,BMI高値,飲酒,高TG値が同定された.ピロリ菌感染の大腸ポリープへの影響に関しては,さらなる前向きの検討が必要である.
索引用語 大腸ポリープ, ヘリコバクターピロリ菌