共同演者 |
小田切 理(むつ総合病院・外科), 小笠原 紘志(むつ総合病院・外科), 山田 恭吾(むつ総合病院・外科), 松浦 修(むつ総合病院・外科), 樋口 博之(むつ総合病院・内科), 安達 淳治(むつ総合病院・内科), 岡本 豊(むつ総合病院・内科), 相馬 悌(むつ総合病院・内科), 池永 照史郎一期(青森市民病院・外科), 遠藤 正章(青森市民病院・外科) |
抄録 |
【目的】2cm以下の小型大腸癌の特徴を抽出し縮小治療の可能性を検討する.【方法】1990-2009年のA病院外科における初回腸切除2119例を後向きに解析した.2cm以下例(小型群)は269例(13%),早期癌を除く対象は76例(3.6%)である.【成績】小型群の占拠部位は右側結腸26%,左側結腸47%,直腸27%と左側に多く腫瘍径の大型な例は右側,直腸に頻度が高い.小型群の深達度診断能は良好でありMP54例はすべて術中S0と判定された.SS以深の22例もS1-S3の判定は正確である.腫瘍径が大きくなると深達度を深読みする傾向が強い.小型群に膣浸潤例が1例あるが術前照射例である.Mp以深に限ると小型群の肉眼型は1型(33%)の頻度が高くly0-1(87%),v0-1(92%)とly,v因子の程度が低く,リンパ節転移率(31%)はmp癌(27%)の頻度に近く(ss癌42%)個数は平均2.4±1.8個とmp癌(2.1±1.8個)と同等である.小型群の累積5年生存率94.7%は腫瘍径2-4cm群(n=489)85.9%,腫瘍径4-6cm群(n=481)81.8%,腫瘍径6cm超群(n=339)79.8%より良好である.しかし,壁深達度,N因子別に腫瘍径の大小による成績に差はなかった.治癒切除小型群73例のうち現在まで8例(11%)に再発を確認した.深達度別再発率はmp11%(6/53),ss10%(2/20),占拠部位別に右側3例,左側3例,直腸2例,8例中5例にリンパ節転移が見られた.再発時期中央値は術後3年だが,術後5年を過ぎて確認された例もある.再発形式は血行性転移が8例中6例と多い.【結論】2cm以下小型進行癌は左側結腸に多いが発生頻度より診断能に起因すると思われる.小型進行癌は腫瘍径のより大きな癌と同様に一定頻度で再発するので,標準治療は必須と再確認された.小型進行癌に著しく悪性度の高い例はないが,リンパ節転移例は高危険群として注意すべきこと,今回の検討から全体としてmp癌に準じた治療成績が得られることを考慮したうえで経過観察すべきであろう. |