セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍1)

タイトル 消P-513:

当院における悪性大腸狭窄に対する大腸ステント留置例の検討

演者 佐々木 一就(明石医療センター)
共同演者 藤本 和世(明石医療センター), 木下 雅登(明石医療センター), 林 賢一(明石医療センター), 花房 正雄(明石医療センター), 吉田 志栄(明石医療センター), 安東 直之(明石医療センター), 中島 卓利(明石医療センター), 澤井 繁明(明石医療センター)
抄録 【目的】2012年に大腸ステントが保険収載となり,当院で施行した大腸ステント留置術について短期的な治療成績を検討する.【方法】当院において2012年4月~2013年2月までに大腸ステント留置術を試みた8例(1例の穿孔による断念症例を含む)を対象とし,患者背景,留置部位,処置時間,偶発症,留置後の経過などについて検討した.【結果】患者背景は男性3例,女性5例,年齢中央値は,71.5歳(53-77歳).留置部位は上行結腸2例,下行結腸2例,S状結腸3例,留置ステントはWallFlex Colonic Stent 22mm 経を使用,2例で9cm長,5例で6cm長を選択した.狭窄の原因は全例,原発性大腸癌であり,留置目的は,6例が術前一時的留置,2例が緩和治療としての姑息的留置であった.留置の偶発症は,1例で穿孔を認めたが,挿入前のガイドワイヤー操作に伴うものと考えられた.同日緊急手術,人工肛門造設となった.その他の留置例7例の,処置時間の中央値は,25分(12-55分)であり,留置後の閉塞や逸脱は認めなかった.また,留置後1-2日で全例経口摂取が可能となり,待機的に手術を施行した5例においては,すべて一期的切除が可能で縫合不全は認めなかった.1例において,ステント留置後に化学療法を先行させ約半年後に手術を行った.その他の4例の手術までの平均期間は,12日(7-22日)であった.手術例6例において,癌の深達度は,SS/SE=3/3例,進行度はstageII/IIIa/IV=3/1/2例であり,2例で化学療法施行中である.【考察】大腸狭窄に対するステント留置術は患者QOLの向上が得られ有効な手技と考えられた.また,手術までの栄養状態の維持が見込め,ステント閉塞や逸脱のリスクは低く,症例によっては,外来待機が可能である.今回経験した症例の様に,ステント留置後に化学療法を先行させる選択も場合によっては可能であると考えらた.しかし当院にて穿孔例も経験しており,安全な手技の習得も含めて,更なる症例の蓄積が必要と考えられる.
索引用語 大腸ステント, 大腸癌