セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍2)

タイトル 消P-515:

直腸カルチノイド腫瘍に対する把持型鋏鉗子Clutch CutterTMを用いたESDの有用性

演者 赤星 和也(麻生飯塚病院・消化器内科)
共同演者 濱田 匠平(麻生飯塚病院・消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院・消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院・消化器内科), 宜保 潤也(麻生飯塚病院・消化器内科), 金山 兼司(麻生飯塚病院・消化器内科), 福田 慎一郎(麻生飯塚病院・消化器内科), 岩尾 梨沙(麻生飯塚病院・消化器内科), 蓑田 洋介(麻生飯塚病院・消化器内科), 大塚 宜寛(麻生飯塚病院・消化器内科)
抄録 【背景】我々は目標部位を把持圧迫止血しつつ,通電切離可能な把持型鋏鉗子(Clutch CutterTM, FUJIFILM株式会社)を開発し,ESDにおけるその有用性を本学会に報告してきた.【目的】当院の直腸カルチノイド腫瘍に対するCCを用いたESDの施行状況及び手技成績の検討.【方法】2008年6月~2012年12月までに大腸内視鏡検査,EUS,生検等にて腫瘍径10mm以下,深達度sm,リンパ節転移無の直腸カルチノイド腫瘍と診断され,CCを用いたESDを施行した12症例(男女比7:5,平均年齢64.8才)を対象にESDの施行状況と手技成績の検討を行った.【結果】病変の存在部位はRb 10例,Ra 2例であった.大腸ESD施行は,ESD経験症例数30例以上の3名の当科中核内視鏡医の一人とその他のESD経験10例以下の当科医師一人がペアを組み行った.CCはマーキングから,周囲切開,粘膜下層剥離,止血処置まで,ESDの全過程を一本でしかも生検の要領で容易に施行できた.本手技は切除部位を把持し,把持部位(切除予定部位)が適切であるか内視鏡画面で十分確認した後,CCを引いたり,持ち上げたりすることにより把持部を筋層から十分引き離し通電切除することができるため,安全に切除深度の調節が可能であった.CCで把持圧迫するため術中出血が少なく,出血した場合もCCにて直ちに止血可能であった.手技成績は1) En-bloc切除率:100%(12/12).2) 平均切除時間:68.2±32.5分(20-124分).3)平均切除標本径:25±8.3mm(12-40mm).4)病理組織学的検索による水平断端陰性率:100%(12/12),垂直断端陰性率:91.7%(11/12),水平,垂直断端ともに陰性率:91.7%(11/12).5)偶発症発生率は0%(0/12).と良好であった.【結論】CCを用いたESD手技は,術中の全処置をワンデバイスで生検の要領で施行できるため,経済的で容易かつ安全に直腸カルチノイド腫瘍の根治的一括切除ができる有用な治療手段と考える.
索引用語 ESD, Clutch Cutter