セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍2)

タイトル 消P-516:

当院における虫垂粘液嚢腫7例の検討

演者 桑村 英里(屋島総合病院・内科)
共同演者 松岡 裕士(屋島総合病院・内科), 小林 伸也(屋島総合病院・内科), 山下 拓磨(屋島総合病院・内科), 渡邊 桂子(屋島総合病院・内科), 山本 佳奈(屋島総合病院・内科), 細見 直樹(屋島総合病院・内科), 阿河 直子(屋島総合病院・内科), 小林 聖幸(香川大附属病院・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大附属病院・消化器・神経内科)
抄録 【目的】当院において経験した虫垂粘液嚢腫7例に対し臨床的な検討を加え報告する.【対象】当院で2004年4月から2013年2月の期間に手術を施行した虫垂粘液嚢腫7例を対象とした.男女比は4:3で,平均年齢は73歳(59-84歳)であった.【結果】発見契機は有症状が3例,無症状が4例であった.有症状例では腹部膨満感や嘔気,右側腹部痛など腹部症状の訴えを認めた.無症状例では健診腹部超音波で偶然嚢胞性病変として発見されることが多かった.術前診断は虫垂粘液嚢腫が3例,虫垂粘液癌疑いが2例,壊疽性虫垂炎疑いが1例,腸間膜嚢腫疑いが1例であった.術前診断は5例で可能でいずれも腹部超音波検査,CT検査が有用であった.術式は2例が虫垂切除,1例が盲腸部分切除,2例が回盲部切除,1例が右半結腸切除,1例が偽粘液腫瘍摘出であった.最終病理診断は粘液嚢胞腺腫が4例,粘液嚢胞腺癌が3例で,うち1例は手術時にすでに腹膜偽粘液腫をきたしていた.粘液嚢胞腺癌と診断されたうち2例に術後化学療法が行われた.1例はn1,ly2,v2のstage3aでFOLFOXを施行し,現在も再発なく6コース目の化学療法を施行している.腹膜偽粘液腫をきたした1例に対しては術後5FUとCDDPの腹腔内投与を行い,その後TS-1の内服を行ったが,術後12ヶ月で死亡した.その他の症例に関しては,すべて現在まで再発なく生存中である.【結語】虫垂粘液嚢腫は虫垂の内腔に液体が貯留し,一部または全体が拡張する比較的まれな疾患である.本症は開腹時に偶然発見される事もあるが,腹部超音波検査やCT検査などにより術前に診断されるケースも多い.比較的予後は良好な疾患ではあるが,嚢腫が破裂した場合には腹膜偽粘液腫に進展し著しく予後は不良となる.術前の迅速かつ正確な診断が望まれる.
索引用語 虫垂粘液嚢腫, 虫垂粘液癌