セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(腫瘍2) |
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タイトル | 消P-518:大腸癌における血清p53抗体の検討 |
演者 | 高橋 里奈(順天堂大・下部消化管外科) |
共同演者 | 青木 順(順天堂大・下部消化管外科), 岡澤 裕(順天堂大・下部消化管外科), 水越 幸輔(順天堂大・下部消化管外科), 丹羽 浩一郎(順天堂大・下部消化管外科), 永易 希一(順天堂大・下部消化管外科), 石山 隼(順天堂大・下部消化管外科), 杉本 起一(順天堂大・下部消化管外科), 神山 博彦(順天堂大・下部消化管外科), 小見山 博光(順天堂大・下部消化管外科), 高橋 玄(順天堂大・下部消化管外科), 柳沼 行宏(順天堂大・下部消化管外科), 小島 豊(順天堂大・下部消化管外科), 五藤 倫敏(順天堂大・下部消化管外科), 冨木 裕一(順天堂大・下部消化管外科), 坂本 一博(順天堂大・下部消化管外科) |
抄録 | 【目的】近年,変異型p53蛋白に対する血清中の抗p53抗体を測定する方法が確立し,大腸癌においては2007年11月より保険適応が承認された.従来の腫瘍マーカーと異なり,癌細胞由来のタンパク質に対する自己抗体という点に注目し,p53抗体値について検討した.【対象】2008年から2010年の間に教室で大腸癌手術を施行した症例の中で,術後3年以上の経過を追跡でき,重複癌・多発癌を除外した84例(Stage1:19例,Stage2:27例,Stage3a: 22例,Stage3b:11例,Stage4:5例)を対象とした.【方法】血清p53抗体値のカットオフ値を1.30U/mlとした.カットオフ値の10倍以上を異常高値とし,術前抗体値によって陰性群,軽度高値群,異常高値群の3群に分類した.【結果】陰性群(A群):64例(76.2%),軽度高値群(B群):10例(11.9 %),異常高値群(C群):10例(11.9%)であった.3群間において,患者背景因子(年齢・性別・既往歴),病理組織学的因子(深達度・リンパ節転移・脈管浸潤)には有意差を認めなかった.転移・再発は全症例中17例(A群11例,B群4例,C群2例)に認めた.次に抗体値の変動を検討した.A群では転移・再発の有無に関わらず,観察期間中に高値となった症例はなかった.術前陽性群であるB群とC群では,術後に陰転化した症例は両群合わせて9例(45%)で,陰転化した時期は,56%が術後半年以内,33%が術後1年以内であった.また抗体値が経過中に再上昇した症例(3例)では全例で転移・再発を認め,有意に転移・再発率が高かったが,B群とC群の2群間での有意差はなかった.【まとめ】術前陽性例では軽度高値群と異常高値群の間に臨床病理学的項目や転移・再発に関する有意な差はなく,術前抗体値の絶対値に関わらず,術後の再上昇に気をつけて推移をみていくことが重要であった.また術前陰性例では術後の測定の意義に乏しく,他の腫瘍マーカーも合わせて経過をみる必要があると思われた. |
索引用語 | 大腸癌, p53 |