セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍3)

タイトル 消P-520:

内視鏡的アプローチによる大腸側方発育型腫瘍の遺伝子発現解析

演者 峯村 荘子(千葉大・消化器内科)
共同演者 田中 健史(千葉大・環境影響生化学), 新井 誠人(千葉大・消化器内科), 齊藤 景子(千葉大・消化器内科), 小山田 新(千葉大・消化器内科), 坪井 優(千葉大・消化器内科), 佐塚 小百合(千葉大・消化器内科), 丸岡 大介(千葉大・消化器内科), 松村 倫明(千葉大・消化器内科), 中川 倫夫(千葉大・消化器内科), 勝野 達郎(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【目的】日本から提唱された疾患概念である側方発育型腫瘍(LST)は,その疾患概念を裏打ちする遺伝子発現profileは明らかにされていない.ESDなどの技術の進歩などにより,LSTの多くは内視鏡的治療がなされることが多く,厳密な病理診断の妨げとなる遺伝子解析用の大量の組織採取は困難であることが,研究の進展を妨げている.本研究では,内視鏡アプローチにより採取された組織サンプルを用いて,LSTの遺伝子発現解析を行った.【方法】(1)2012年6月から2013年2月までに内視鏡的腫瘍切除術を施行した大腸腺腫22例(LST15例,径10mm以上のIp型7例)を対象とした.治療時に腫瘍組織を採取し,RNAを抽出し,癌関連遺伝子が搭載されたPCRアレイを用いて遺伝子発現解析を行った.比較対象として,背景正常粘膜とIp型大腸腺腫を用いた.特に,発現変化が認められた遺伝子について,次の解析を行った.(2)2003年3月から2013年1月に内視鏡的腫瘍切除術を施行した57例(LST43例,径10mm以上のIp型14例)を対象とし,(1)で候補となった遺伝子について免疫組織化学染色法による検討を行った.【結果】(1)病理診断には影響はなかった.PCRアレイ解析により,正常粘膜と比較しLSTで有意に発現上昇していた遺伝子は,SERPINB5,IL8,MYCの3つであり,それぞれ10.3±11.7倍,6.5±8.2倍,5.5±2.0倍であった.また同じく背景軟膜と比較して,Ip型腺腫で有意に発現上昇していた遺伝子は,IL8,FOSの2つであり,それぞれ5.0±7.9倍,3.9±6.0倍であった.(2) IL8について検討した.IL8の陽性率(LST/Ip型)は,63%/28%であり,両者間に有意差を認めた(p=0.03,カイ2乗検定).【結論】IL8がLSTの病態に関与することが示唆された.内視鏡的アプローチによる遺伝子発現解析は,病理診断や治療の妨げになることなどから敬遠されがちであるが,病態の解明に直接つながるものであり,今後も注目すべき方法である.
索引用語 LST, IL8