セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍3)

タイトル 消P-521:

大腸ポリープ切除後症例を対象とした,降圧薬と1年後の大腸ポリープ再発との関連について

演者 渡邊 義敬(東京大・消化器内科)
共同演者 山地 裕(東京大・消化器内科), 七條 智聖(東京大・消化器内科), 成田 明子(東京大・消化器内科), 鈴木 裕史(東京大・消化器内科), 小林 由佳(東京大・消化器内科), 磯村 好洋(東京大・消化器内科), 吉田 俊太郎(東京大・消化器内科), 山田 篤生(東京大・消化器内科), 平田 喜裕(東京大・消化器内科), 吉田 晴彦(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】NSAIDsの例にみられるように,ある種の常用薬が腫瘍の発生や予防に影響を与える環境因子として働く可能性が考えられる.高齢化社会を背景として,慢性疾患により薬剤を常用する患者が増加している.これまで我々は,大腸内視鏡検査症例を対象とした横断的解析にて,薬剤と大腸ポリープとの関連を検討した結果,降圧薬の常用が独立した大腸ポリープの危険因子であるとの結果を得ている.今回大腸ポリープ切除後症例を対象として,降圧薬と大腸ポリープ再発との関連について縦断的解析を行ったので報告する.【方法】2007年から2010年に当科にて大腸内視鏡検査を施行した患者で,全てのポリープを内視鏡的に切除し,さらにその翌年に大腸内視鏡の再検を行った222例(男性 167例,女性 55例,平均年齢64.7才)を対象とした.降圧薬常用症例(初回検査時または再検査時)89例を,初回時と1年後の降圧薬数の変化から,「不変」群(52例)と「増量」群(18例),「減量」群(19例)の3群に層別化し,各群の1年後の大腸ポリープ再発リスクを比較検討した.【成績】再発率は降圧薬常用症例では53.9%(48/89)で,常用していない症例では49.6%(66/133)であった(P=0.58).常用者の中で「不変」群は61.5%(32/52例)であったが,「増量」群では72.2%(13/18例)と高く,一方減量群では15.8%(3/19例)と低い再発率が認められた.多変量解析では,「不変」群に対するオッズ比は「増量」群 OR, 1.51; 95%CI, 0.5-5.5, 「減量」群 OR, 0.04; 95%CI, 0.003-0.3と,降圧薬の減量と大腸ポリープの再発との間に有意な負の関連が認められた.【結論】降圧薬の増減は大腸ポリープ再発のリスクと関連があり,減量によって大腸ポリープ再発が抑制される可能性が示唆された.
索引用語 降圧薬, 大腸ポリープ