セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍3)

タイトル 消P-523:

大腸癌における内視鏡的ステント留置術の有用性について

演者 佐々木 美奈(東京都健康長寿医療センター・消化器内科)
共同演者 中嶋 研一朗(東京都健康長寿医療センター・消化器内科), 山本 浩隆(東京都健康長寿医療センター・消化器内科), 潮 靖子(東京都健康長寿医療センター・消化器内科), 上垣 佐登子(東京都健康長寿医療センター・消化器内科), 紀 健二(東京都健康長寿医療センター・内視鏡科)
抄録 [目的]大腸癌など大腸悪性狭窄に対する新しい治療として,平成24年1月より大腸ステントが保険収載されている.今回当院での使用経験を報告する.[方法]平成24年4月から平成25年1月まで,当院で内視鏡的大腸ステント留置術が行なわれた4例について,臨床経過,合併症の有無などを検討した.[結果]症例1は80歳男性.主訴は下痢,便潜血陽性.直腸Rsに不整な全周性狭窄あり,直腸癌と診断された.胸部CTで肺転移があり,stage4であったため,当初緩和治療を希望され,大腸ステントを留置した.その後手術希望との申し出あり,留置術から10日後に原発巣摘出術が施行された.肺転移巣の手術も施行予定である.症例2は75歳男性.貧血精査目的で行なった大腸内視鏡にて,高度狭窄を有する上行結腸癌と診断された.基礎疾患として,狭心症や間質性肺炎があり,術前検査に時間を要することが予想されたため,イレウス回避目的で狭窄部にステントを挿入した.17日後に手術が施行された.症例3は71歳男性.貧血,便潜血陽性,CEA高値にて検査入院.直腸Raに全周性狭窄を認めた.症例2同様手術までのイレウス回避目的でステントを留置した.24日後,腹腔鏡下前方切除術が行なわれた.症例4は86歳女性.主訴は下血,体重減少.直腸Raに全周性狭窄があり,直腸癌と診断.高齢かつPS3で,ご家族は手術を希望せず,ステント留置を行なった.いずれの症例も,一過性に腹部違和感や下血を来すことはあったが,数日以内に症状は消失し食事摂取が可能な状態となり,栄養状態を維持することができた.[結論]SEMS留置により,手術前の腸管減圧(Bridge to surgery,BTS)や緩和的外科治療が困難な患者の腸管減圧を図ることができるため,今後需要が高まることが予想される.当院ではこれまでのところ,大きな合併症を起こすことなく治療を行なうことができている.今後安全かつ有用な手技として確立するとともに,ステント留置後の長期予後なども検討していきたい.
索引用語 ステント, 高齢者