共同演者 |
赤尾 幸博(岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科・創薬科学), 釜谷 明美(藤田保健衛生大・消化管内科), 丸山 尚子(藤田保健衛生大・消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大・消化管内科), 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大・消化管内科), 小村 成臣(藤田保健衛生大・消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大・消化管内科), 大森 崇史(藤田保健衛生大・消化管内科), 城代 康貴(藤田保健衛生大・消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大・消化管内科), 米村 穣(藤田保健衛生大・消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大・消化管内科), 田原 智満(藤田保健衛生大・消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大・消化管内科), 柴田 知行(藤田保健衛生大・消化管内科), 中井 遥(藤田保健衛生大・消化管内科), 河村 知彦(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科) |
抄録 |
【目的】microRNA (miRNA)は22-25ヌクレオチドの小さな機能性RNAで,標的となるmRNAと結合して翻訳調節をすることから,その破綻は疾患と深く関連する.我々はこれまでに家族性大腸腺腫症(FAP)においてmiR-143, -145が共に高率に発現低下することを見出し報告してきた.今回我々は,colitic cancerにおけるmiR-143, -145の発現とmiR-21の発現について臨床検体を用いて解析し,FAPと比較検討したので報告する.【方法】colitic cancer 6症例10腫瘍検体とFAP 6症例21腫瘍検体を用いてmiR-143, -145, -21の発現を調べ比較検討した.【成績】miR-143, -145はcolitic cancer 7例(70.0%),FAP 18例(85.7%)で発現が低下し,miR-21はcolitic cancer 8例(80.0%),FAP 6例 (28.6%)で発現が増加していた.miR-21の発現増加は有意差をもってcolitic cancer で多かった.miR-143, -145の発現には有意差が見られなかった.【結論】colitic cancerもFAPもmiR-143, -145は高頻度に低発現を示し,miR-21はcolitic cancerにおいてのみ高頻度に発現が増加していた.miR-143, -145の発現低下は,大腸の腫瘍化に関与することが示唆された.一方,colitic cancerにおいてはmiR-21の発現増加が重要な役割を果たしていることが示唆された.以上の結果はcolitic cancerのスクリーニングに有効なmiRNAの存在を示唆するものである. |