セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法2))

タイトル 消P-536:

腸閉塞症状を伴わない根治切除不能大腸癌に対する治療法の検討

演者 白川 敦史(京都第二赤十字病院・消化器内科)
共同演者 岡田 雄介(京都第二赤十字病院・消化器内科), 真田 香澄(京都第二赤十字病院・消化器内科), 中瀬 浩二朗(京都第二赤十字病院・消化器内科), 萬代 晃一朗(京都第二赤十字病院・消化器内科), 鈴木 安曇(京都第二赤十字病院・消化器内科), 河村 卓二(京都第二赤十字病院・消化器内科), 河端 秀明(京都第二赤十字病院・消化器内科), 盛田 篤広(京都第二赤十字病院・消化器内科), 宮田 正年(京都第二赤十字病院・消化器内科), 田中 聖人(京都第二赤十字病院・消化器内科), 宇野 耕治(京都第二赤十字病院・消化器内科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院・消化器内科), 中島 正継(京都第二赤十字病院・消化器内科)
抄録 【背景・目的】腸閉塞症状を伴わない根治切除不能大腸癌に対する治療は全身化学療法であるが,原発巣による症状を予防するために姑息的手術を施行してから化学療法を導入する方法と,早期の治療開始を目的に手術を施行せずに化学療法を導入する方法がある.それぞれの治療法に関する問題点について検討した.【方法】2008年1月から2012年12月の間に当院において診断された根治切除不能大腸癌症例のうち,診断時に腸閉塞症状を認めず,全身化学療法の適応となった症例を対象とした.対象は51例で平均年齢が61.2歳(33~81歳),男女比は33:18であり,手術施行症例は36例,化学療法先行症例は15例であった.手術施行症例では,術後の化学療法導入率,診断から化学療法導入までの期間を,化学療法先行症例では診断から化学療法導入までの期間,治療開始後の原発巣に関連した有害事象に関して検討した.【結果】手術施行症例のうち,術後に化学療法を導入できたものは33例(91.7%),診断から化学療法導入までの平均日数は45.9日(14~87日)であった.化学療法を導入できなかった3例のうち,2例は手術関連死,1例は術後退院されたが,化学療法導入前に肺炎を発症し死亡された.化学療法先行症例における診断から化学療法導入までの平均日数は13.2日(7~33日)であった.原発巣による有害事象は1例(6.7%)で認められ,腸閉塞のために外科手術を必要としたが,術後も全身状態は良好であり,化学療法の継続が可能であった.【考察とまとめ】手術施行例においては化学療法の導入に至らなかった症例を認め,化学療法先行例と比べて化学療法の導入が約30日遅れていた.化学療法先行例において原発巣に関連する有害事象を認めたものは現時点で1例であり,化学療法を先行させることは有用な治療戦略であると考えられるが,今後も症例を蓄積して検討を重ねる必要がある.
索引用語 大腸癌, 治療戦略