セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法2))

タイトル 消P-539:

原発巣を切除せずに大腸癌化学療法をおこなう場合の内視鏡検査の役割

演者 山内 理海(県立広島病院・臨床腫瘍科)
共同演者 篠崎 勝則(県立広島病院・臨床腫瘍科), 土井 美帆子(県立広島病院・臨床腫瘍科), 新田 朋子(県立広島病院・臨床腫瘍科), 池田 聡(県立広島病院・消化器外科), 平賀 裕子(県立広島病院・内視鏡内科)
抄録 【目的】切除不能転移性大腸癌に化学療法を先行導入した際の,内視鏡で観察される原発巣変化について検討した.さらに合併症予知や緊急処置における内視鏡の役割について考察した.
【対象と方法】2005年から2012年3月までに診療を開始した症例のうち,イレウス・重篤な出血を呈した症例や計画的R0切除が可能と判断した症例を除き,82例のStage IV大腸がん症例を抽出した.このうち,原発巣切除やストマ造設が行われずに化学療法が導入された46例の診療記録を後方視的に解析した.観察期間中央値は503日,1次治療でオキサリプラチンを含む化学療法が42例(91 %)に行われ,ベバシズマブは33例(71 %)で併用されていた.
【結果】46例中22例で内視鏡検査が実施され,病変の消失10例(45 %),縮小11例(50%),増大1例(5%)であった.化学療法開始から内視鏡初回検査までの期間中央値は179日(77- 701日)であった.原発巣に関連した合併症は46例中7例(15 %,イレウス5例,穿通2例)に認めた.内視鏡実施群においても4例発生しており,2例は病変の著明縮小とともに管腔が狭窄した例であった.緊急処置の内訳は手術4例,大腸ステント2例,経皮ドレナージ1例で,処置後30日以内の死亡を1例に認めた.
【結論】化学療法は大腸がん原発巣に優れた腫瘍縮小効果を有することが示唆されたが,内視鏡による正確な定量評価や全例検査は困難であった.合併症の高危険群を明らかにし,検査日程を効果的に設定して予防的な介入戦略をとることが必要である.
索引用語 大腸がん, 原発巣