セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他1)

タイトル 消P-554:

逐年検診発見がんからみた大腸がん検診の問題点

演者 手林 明雄(北海道対がん協会)
共同演者 山口 由美子(北海道対がん協会), 大塚 忍(北海道対がん協会), 松浦 邦彦(北海道対がん協会), 安保 智典(北海道対がん協会)
抄録 「はじめに」大腸がん検診では,現在約半数が前年検診を受けている逐年検診である.この逐年検診の発見率は,初回群よりは低いが0.17%とかなり高く,一度の検診でほとんどのがんが見つかっているわけではないことを示している.そこで逐年検診発見がんの分析から,現在の大腸がん検診の問題点を探った.「対象」2006年から2011年に当協会が行った大腸がん検診である.受診者数は763740人,要精検率は7.9%,精検受診率は86.6%,発見がんは2108,発見率は0.28%である.逐年検診受診者は430618人,発見がんは743で発見率は0.17%である.「検討方法」逐年検診発見がんを1)潜血偽陰性647,2)精検偽陰性57,3)精検未受診39に分けた.そして1)潜血偽陰性については部位別早期がん比率,大きさ別の比率をだし初回群と比較した.2)精検偽陰性は検査法別に部位,大きさなどを検討した.3)未受診群は前年の潜血の値と深達度の関係をみた.「結果」1)潜血偽陰性例の部位別早期がん比率はR75.6%,S75.2%,D69.2%,T67.9%,A66.1%,C55.0%であった.それぞれ初回より10%程度上昇するが,深部にいくほど早期がん比率が低いのは初回群と同様であった.大きさは初回群より小さなものが多いが,それでも20mm以上が35%程度あった.2)精密検査はほとんどが内視鏡検査で行われていた.m・smがんはどの部位にも存在していたが.進行がんは直腸と上行結腸が多かった.X線検査は少ないのに偽陰性例が複数存在していた.3)未受診群の約1/3は進行がんであった.前年の潜血の値が高いほうが進行がんの比率が高かった.「まとめ」便潜血による大腸集検ではある程度増大したり,より進行しないと見つからないがんが存在した.この傾向は右側大腸でより著明であった.精検は内視鏡検査で行われることが大部分であるが,上行結腸や直腸では進行がんも存在した.この部位は内視鏡といえどもより慎重な観察が必要であると思われた.精検未受診で潜血濃度が高い場合はより精検勧奨が必要であると思われた.
索引用語 大腸がん検診, 右側結腸