セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他1)

タイトル 消P-555:

大腸憩室症の性差について

演者 岡本 真(JR東京総合病院・消化器内科)
共同演者 關場 一磨(JR東京総合病院・消化器内科), 坪井 真代(JR東京総合病院・消化器内科), 黒岩 貴之(JR東京総合病院・消化器内科), 松村 梓(JR東京総合病院・消化器内科), 松本 裕太(JR東京総合病院・消化器内科), 八木岡 浩(JR東京総合病院・消化器内科), 大前 知也(JR東京総合病院・消化器内科), 赤松 雅俊(JR東京総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】大腸憩室症は,わが国で増加しており,大腸検査でもよく観察される疾患であるが,男女による臨床的特徴の差異を検討した報告は少ない.そこで大腸内視鏡症例を対象に大腸憩室症の性差について検討した.【方法】2007年6月から2012年3月までに当院で単一術者による内視鏡施行症例を対象として,憩室症の頻度や分布を検討した.全大腸観察不能,前処置不良,術後大腸,炎症性腸疾患などは除外した.【成績】(1)対象となった全1,654例(男性1,215,女性439,平均59歳)のうち,憩室症は43.3%(716例)に認めた. (2)男女別では,男性46.2%(561/1,215),女性35.3%(155/439)と,男性に多かった(p<0.01). (3)年齢階層で分けると,男性では,39歳以下15.1%,40-54歳42.8%,55-69歳51.0%,70歳以上53.8%であり,55歳以上の群では増加傾向はなかった.一方,女性は,39歳以下11.1%,40-54歳26.2%,55-69歳36.6%,70歳以上46.4%であり,加齢に伴って増加していた(p<0.01, trend test). (4)憩室の分布をみると,男性では,右側型66.3%,左側型5.9%,両側型27.8%であり,女性では,右側型54.2%,左側型13.5%,両側型32.3%であり,分布に差を認めた(p<0.01).【結論】大腸憩室症は約40%の症例に認められた.全体では男性に多いが,年齢別でみると,男性は40歳代に急激に増えるが,50歳代以降は増加傾向に乏しかった.一方,女性は加齢とともに直線的に増加し,男女とも70歳以上では約50%の症例に認められた.また,女性は男性に比べて,両側型を含めた左側結腸憩室が多かった.食生活の欧米化,特に食物繊維の摂取不足が大腸憩室発症の大きなひとつの要因とされるが,男性では比較的若年からその影響が現れ,女性では加齢とともに徐々に現れると考えられた.
索引用語 大腸憩室症, 性差