セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(その他1)
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タイトル |
消P-556:大腸憩室出血に対する治療方針の検討
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演者 |
土屋 和代(宮崎大・腫瘍機能制御外科学DELIMITER都城市郡医師会病院・外科) |
共同演者 |
日高 秀樹(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 末田 秀人(都城市郡医師会病院・外科), 佐野 浩一郎(都城市郡医師会病院・外科), 内山 周一郎(都城市郡医師会病院・外科), 金丸 幹郎(都城市郡医師会病院・外科), 高屋 剛(都城市郡医師会病院・外科), 真方 寿人(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 生嶋 一朗(都城市郡医師会病院・放射線科), 千々岩 一男(宮崎大・腫瘍機能制御外科学) |
抄録 |
【目的】大腸憩室出血に対する止血法として内視鏡下止血法が広く行われているが,止血困難例に対しては経カテーテル動脈塞栓術(TAE: transcatheter arterial embolization)や外科手術が選択されることもある.今回我々は大腸憩室出血に対する治療法について検討した.【方法】2001年4月から2012年3月までに下血のため当施設に入院し,大腸憩室出血と診断された85例について止血法,止血率,再出血率について検討した.【成績】77例に対して大腸内視鏡検査(CS)が行われ,そのうち出血源を同定し,かつクリップ止血し得たのは11例(止血率14.2%)であった.クリップ法が不成功に終わった6例と,造影CT検査で多量の腸内容によりクリップ法が困難と推察された3例の計9例で血管造影を行い, extravasationを認めた7例にTAEを行って全例一次止血し得た(止血率77.7%).TAEはクリップ法と比較し有意にHb値が低い(7.9±1.6 vs 10.3±1.3 g/dl, p=0.0127)患者に施行されていた.TAEの塞栓血管は辺縁動脈,直動脈のどちらかあるいは両者であった.TAE後2例で一過性の狭窄を認めたが自然に軽快し,腸管壊死や穿孔等の重篤な合併症はなかった.残り67例は自然止血が得られたと判断し経過観察とした.再出血は18例に認められ,初回治療法別の再出血率はクリップ法が54.5%(6例),TAEが28.5%(2例),経過観察が14.9%(10例)であった.TAE後の再出血は1例が同一部位, 他の1例は別部位からの出血であった.再出血に対する治療で8例に外科手術が行われ,6例に合併症を認めたが,再出血や在院死は認められなかった.【結論】大腸憩室出血に対する内視鏡的止血法は,出血源の同定および止血効果において更なる改善が望まれる.TAEは止血効果が高く,重篤な合併症も少ないことから出血量が多く内視鏡的止血が困難な症例に対して積極的に考慮すべき治療法と考えられた.再出血に対する外科的切除は効果があるが,合併症への対策が必要である. |
索引用語 |
大腸憩室出血, TAE |