セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(その他2) |
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タイトル | 消P-557:Clostridium difficile関連下痢症における入院死亡と危険因子に関する多施設共同コホート研究 |
演者 | 高橋 正彦(国立東京医療センター・消化器科) |
共同演者 | 尾藤 誠司(国立東京医療センター・総合内科), 高取 祐作(国立東京医療センター・消化器科), 佐藤 道子(国立東京医療センター・消化器科), 作野 隆(国立東京医療センター・消化器科), 菊池 美穂(国立東京医療センター・消化器科), 西澤 俊宏(国立東京医療センター・消化器科), 藤山 洋一(国立東京医療センター・消化器科), 中村 光康(国立東京医療センター・消化器科), 金子 博(国立東京医療センター・消化器科) |
抄録 | 【目的】Clostridium difficileは抗菌薬や抗悪性腫瘍薬使用に関連する下痢・腸炎の主要な原因菌であると同時に重要な院内感染菌である.近年Clostridium difficile関連下痢症(CDAD)は欧米で大きな疫学的変化がみられているが,我が国での発生状況は不明な点が多い.本研究は研究協力病院でのCDADの発生状況を調査し患者要因や治療内容がCDAD発症患者において入院死亡にどう影響するかを検討することを目的とする.【方法】2010年11月1日から2011年10月31日までに研究協力47施設でCDADと診断された満18歳以上の入院患者を原則全数,連続的に登録した.登録されたCDAD患者について基礎疾患,栄養状態,CDADに対する治療,患者に行われていた医療行為(3日以上)について調査した.【成績】研究協力47施設中42施設から計1026例のCDAD症例が登録された.対象となった患者のうち12%が入院中に死亡した.ロジスティック回帰分析において,CDAD発症後の入院時死亡に有意な関連を認めた患者要因は,心不全(OR 1.9:95%CI1.2-3.1),呼吸不全(OR 1.7:95%CI 1.0-2.8),低アルブミン血症(OR 2.2:95%CI1.4-3.5)であった.年齢及び性別は有意な危険因子ではなかった.CDAD発症前のプロトンポンプ阻害薬投与は危険因子である可能性があった(OR 1.5:95%CI 0.9-2.3 ).CDAD発症後のプロバイオティクス投与は,死亡事象と有意な負の関連を認めた(OR 0.6:95%CI0.4-0.9).CDADに対する抗菌薬治療に関してはメトロニダゾールとは有意な関連を認めなかったが,バンコマイシンはリスク軽減要因として有意であった(それぞれOR 1.0:95%CI 0.6-1.6, OR 0.5:95%CI0.3-0.8).【結論】CDAD患者の入院死亡は心不全,呼吸不全,低アルブミン血症に多くプロトンポンプ阻害薬は危険因子であった.プロバイオティクス投与とバンコマイシンによるCDAD治療は死亡リスクを軽減させた. |
索引用語 | CDAD, 偽膜性腸炎 |