セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(その他2)
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タイトル |
消P-558:高齢者のClostridium difficile感染症に対するmetronidazole治療成績
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演者 |
吉岡 毅(倉敷平成病院・消化器科) |
共同演者 |
前田 憲男(倉敷平成病院・消化器科), 井上 和彦(川崎医大・総合臨床医学), 春間 賢(川崎医大・消化管内科) |
抄録 |
【目的】高齢入院患者のC. difficile感染症(CDI)は近年増加傾向にあり,再発例も少なくない.本邦では公知申請により2012年にmetronidazole(MNZ)の適応が承認されたが,多数症例での報告は乏しい.当院では欧米ガイドラインに準拠しMNZを2010年より第一選択薬としており,高齢CDI患者の背景因子と治療成績について検討する.【方法】対象は2008年6月より2012年12月まで入院治療をおこなったCDI83例のうち65歳以上78例.初回治療薬はMNZ55例,vancomycin(VCM)13例,MNZ/VCM無し10例であり,MNZ投与例について基礎疾患,診療科,抗生剤,酸分泌抑制剤,栄養療法,治療効果(治癒/再発・再感染),合併症,転帰を検討した.再発は投薬終了後の症状再燃まで2週間以上,再感染は症状再燃まで2か月以上間隔があく場合と定義した.【成績】全例で脳血管疾患,整形外科疾患など何らかの基礎疾患を有し,リハビリテーション科で多くみられた.先行する抗生剤投与歴が確認されたのは52例(94.5%)で,肺炎,尿路感染症に対するものが多かった.酸分泌抑制剤の服用が43例(78.1%),栄養療法は食事/EN/PN:28/28/1例(重複あり)であった.治療成績はMNZのみで治癒42例(76.3%),MNZ後再発6例(10.9%),MNZ後再感染3例(5.4%),MNZ投与日数不十分による再燃2例(3.6%),MNZ効果なし2例(3.6%)であった.合併症は急性腎不全が1例.死亡8例(14.5%)の直接死因は肺炎5例,心不全2例,腎不全1例であった.【結論】基礎疾患を有し,酸分泌抑制剤の服用や経腸栄養の多い本邦の高齢者CDI症例に対するMNZの治療成績は,海外の報告と比し治癒率や再発率は同等であったが,併存疾患の悪化から死亡に至る例がみられた. |
索引用語 |
C. difficile感染症, metronidazole |