セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他2)

タイトル 消P-559:

膠原線維性大腸炎の診断におけるランダム生検の有用性に関する検討

演者 森田 敏広(滋賀県立成人病センター・消化器内科)
共同演者 山本 修司(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 向 あかね(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 太田 麻由(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 上田 康祐(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 貴田 雅也(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 石原 真紀(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 藤本 昌澄(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 水田 和彦(滋賀県立成人病センター・消化器内科), 松村 和宜(滋賀県立成人病センター・消化器内科)
抄録 【背景・目的】膠原線維性大腸炎(CC)は非血性水様下痢を主訴とする原因不明の疾患で,大腸粘膜上皮直下の膠原線維の沈着を特徴する.CCに特徴的な所見に関する知見も蓄積されつつあるが,内視鏡的に軽微な変化しか認めず,粘膜生検による病理学的検索でのみ診断が可能なことも多い.CCは慢性下痢患者の10~20%程度を占めると報告されているが,本邦における慢性下痢患者における本疾患の割合を検討した報告は少ない.今回我々は原因不明の慢性下痢患者に対して大腸内視鏡検査を施行し,所見の有無に関らず大腸各部位からランダム生検を行うことで,慢性下痢患者におけるCCの頻度を検討した.【対象】便培養・CD毒素陰性で,1日5回以上の水様性下痢が1ヶ月以上続く状態を原因不明の慢性下痢と定義し,2011年4月から2013年2月までに当院を受診した原因不明の慢性下痢患者9例を対象とした.【方法】全大腸内視鏡検査を施行し,内視鏡検査で有意な所見がある部位から狙撃生検を施行した.さらに所見の有無に関らず,盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸の各部位から生検を行った.粘膜上皮直下に10μm以上の膠原線維帯を認めた場合にCCと診断した.【結果】9例中4例(44.4%)でCCと診断された.狙撃生検で診断可能であった症例は1例のみで,3例はランダム生検からCCと診断した.膠原線維帯の陽性率は盲腸2/4例,上行結腸2/4例,横行結腸3/4例,下行結腸3/4例,S状結腸3/4例,直腸2/4例であった.【結論】原因不明の慢性下痢患者の44.4%で大腸上皮直下に膠原線維沈着を認め,その75%が内視鏡的に明らかな異常を認めなかった.長期間水様性下痢を認める患者においては,積極的に大腸内視鏡検査を施行し,内視鏡所見の有無に関らず生検を施行することが重要と考えられた.
索引用語 腸炎, collagenous colitis