セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他2)

タイトル 消P-561:

腸管スピロヘータ症における背景粘膜の検討

演者 大森 沙織(北海道大・消化器内科)
共同演者 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部), 大野 正芳(北海道大・消化器内科), 鈴木 美櫻(北海道大・消化器内科), 高橋 正和(北海道大・消化器内科), 小野 尚子(北海道大病院・光学医療診療部), 中川 学(北海道大・消化器内科), 森 康明(北海道大・消化器内科), 間部 克裕(北海道大病院・光学医療診療部), 中川 宗一(北海道大・消化器内科), 清水 勇一(北海道大・消化器内科), 畑中 佳奈子(北海道大病院・病理部), 坂本 直哉(北海道大・消化器内科)
抄録 【目的】腸管スピロヘータ症はBrachyspira aalborgiとBrachyspira pilosicoliによる感染症で,ブタ,ニワトリなどに感染がみられ,水様性下痢を起こすことが知られている.ヒトの腸管からも分離され,人畜共通感染症として知られる.その病理組織像は大腸上皮表面に好塩基性で毛羽立ち状に付着した菌塊として観察されるが,間質には単核球を主体とする炎症細胞浸潤が中等度にみられるのみで,非スピロヘータ症例と比しても差異がみられずヒトに対する病原性については未だ不明とする報告が多い.今回,スピロヘータ感染に伴う単核球浸潤において,細胞障害性T細胞に着目して検討した.【方法】対象は2011年10月から12月に下部消化管内視鏡検査で生検を施行し,抗Treponema Pallidum (抗TP)抗体を用いてスピロヘータ感染が証明された5症例である.同時期生検を施行し抗TP染色で陰性であった5症例を対象とした.単核球浸潤についてはHematoxylin-Eosin染色(HE染色)を用いて,4段階で点数化し評価した.またCD8,GranzymeBの免疫染色を行い,高倍率5視野(5hpf)あたりの陽性細胞数を測定した.GranzymeBは活性化した細胞障害性T細胞およびNK細胞に陽性になることが知られている.【結果】腸管スピロヘータ症5症例(S群)は平均年齢48歳,全例男性,コントロール(C群)は平均年齢53.4歳,男女比4:1で有意差はみられなかった.HE染色での単核球浸潤についてはS群で平均スコア2.2,C群で平均スコア2.6で有意差はみられなかった.CD8陽性細胞数はS群は平均138.4/5hpf,C群は155.8/5hpf,GranzymeG陽性細胞数はS群で平均25.4/5hpf,C群で23.2/5hpfであり,いずれも有意差はみられなかった.【結論】少数例の検討であるが,腸管スピロヘータ症では,細胞障害性T細胞の浸潤についてコントロールと差がみられなかった.同症の背景粘膜について更に検討を進める.
索引用語 腸管スピロヘータ, 背景粘膜