セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(その他2) |
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タイトル | 消P-562:当院における便・腸生検組織培養でのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)陽性例の検討 |
演者 | 住元 旭(広島記念病院・内科) |
共同演者 | 隅井 雅晴(広島記念病院・内科), 松本 健太(広島記念病院・内科), 炭田 知宜(広島記念病院・内科), 山本 隆一(広島記念病院・内科), 児玉 英章(広島記念病院・内科), 田村 忠正(広島記念病院・内科), 津賀 勝利(広島記念病院・内科), 江口 紀章(広島記念病院・内科) |
抄録 | メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による腸炎は,難治性水様性下痢の原因となり,症例によってはショックや麻痺性イレウスを引き起こす.感染経路は,口腔,鼻腔,気道に定着したMRSAが唾液の嚥下や経鼻胃管の挿入により胃に入り小腸に流れていくと考えられる.通常は胃酸の殺菌作用で小腸内への侵入は防御されるが,胃酸分泌抑制剤投与や胃切除例では胃酸による殺菌力が弱まりMRSAの腸内への侵入が容易になると考えられる.そこで,当院における便・腸生検組織培養でのMRSA陽性症例の背景について検討した.【対象】2004年1月から2012年12月の間に便・腸生検組織培養でMRSAが検出された75例(男性39例,女性36例,年齢16歳~93歳(平均73.7歳))について検討した.【結果】下痢52例,発熱25例,血便・便潜血6例,腹痛5例,緑色便3例等の症状を認めた(重複あり).全例での検討ではないが,痰23例,鼻腔5例,舌3例でMRSAを検出したが,便中Clostridium difficile抗原陽性例はなかった.胃酸分泌抑制状態が45例(60%)(胃酸分泌抑制剤投与36例(48%)(プロトンポンプ阻害剤24例,H2ブロッカー12例),術後胃12例(16%)(胃全摘術8例,幽門側切除術5例)(重複あり))と高率であった.また,外科的腹部手術後1ヵ月以内の発症が19例(25.3%),抗癌剤・ステロイド剤使用中が9例(12%),経鼻胃管栄養1例(1.3%)であった(重複あり).バンコマイシン内服治療は49例(65.3%)で行われていたが,前記した何れかの背景を有する症例では41例/55例(74.5%)と背景がない症例(8例/20例(40%))に比べて高率であり投与が必要な病状が多かった(p=0.014).【結語】胃内の低酸状態はMRSA腸炎の発症リスクを高めるため,胃酸分泌抑制剤は症例に応じて適切に投与することが重要である.また,腹部の外科的手術後早期や抵抗力減弱例ではMRSA腸炎を念頭におき,発病が疑われた時には速やかに対応する必要がある. |
索引用語 | MRSA腸炎, 胃酸分泌抑制剤 |