セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他3)

タイトル 消P-563:

当院における虚血性大腸炎の検討

演者 芳川 昌功(豊橋市民病院・消化器内科)
共同演者 山田 雅弘(豊橋市民病院・消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院・消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院・消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院・消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院・消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院・消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院・消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院・消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院・消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院・消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】虚血性大腸炎は腹痛や下血を主訴に,日常診療でよく遭遇する疾患であり,その多くは,保存的治療で治癒することが多い.しかし,重症例である狭窄型や壊死型では手術を要する.今回,当院で経験した症例をもとに虚血性大腸炎の臨床的特徴を検討した.【方法】平成22年4月から平成24年12月までに経験した229例(平均年齢は62.9歳(24~92),男60人,女169人)の虚血性大腸炎を対象に,一過性型群と狭窄型・壊死型群に分けて,年齢,男女比,症状,病変部位,背景因子,内視鏡所見を中心に臨床的検討を行った.【結果】一過性型群:215例は,平均年齢:62.3歳(24~92)で,男53人,女162人.腹痛76.3%,下血83.7%にみとめた.病変部位は,S状結腸:115例,下行結腸:93例,直腸:2例だった.背景因子を血管側因子(高血圧症,脂質代謝異常症,糖尿病,その他)と腸管側因子(便秘,下剤の使用,浣腸の使用)に分けて検討すると,血管側因子のうち,高血圧症は全体の36.7%,脂質代謝異常症は19.0%,糖尿病は5.5%にみとめた.腸管側因子のうち,便秘は全体の19.5%,下剤の使用は4.6%,浣腸の使用は1.8%であった.内視鏡検査は90.7%の症例で施行された.狭窄型・壊死型群:14例(狭窄/壊死:4/10)は,平均年齢:76.2歳(51~88),男7人,女7人.腹痛71.4%,下血50%にみとめた.病変部位は,S状結腸:9例,下行結腸:2例,直腸:3例だった.背景因子は,高血圧症:64.2%,脂質代謝異常症:28.5%,糖尿病:35.7%に,また便秘は全体の 50.0%で,下剤の使用は14.3%,浣腸の使用は7.1%であった.内視鏡検査は85.7%の症例で施行され,壊死型の内視鏡所見は潰瘍形成,あるいは灰白色粘膜が特徴的であった.【結論】狭窄型・壊死型群は一過性型群に比較し高齢者に多く,血管側因子の関与が示唆された.虚血性大腸炎は腹痛・下血を主訴とする疾患であるが,狭窄型・壊死型では下血を伴わない症例も多く,注意が必要である.
索引用語 虚血性大腸炎, 壊死型