共同演者 |
小田切 理(むつ総合病院・外科), 小笠原 紘志(むつ総合病院・外科), 山田 恭吾(むつ総合病院・外科), 松浦 修(むつ総合病院・外科), 樋口 博之(むつ総合病院・内科), 安達 淳治(むつ総合病院・内科), 岡本 豊(むつ総合病院・内科), 相馬 悌(むつ総合病院・内科), 池永 照史郎一期(青森市民病院・外科), 遠藤 正章(青森市民病院・外科) |
抄録 |
【目的】大腸癌検診または大腸検査で発見された無症状大腸癌の特徴を抽出し検討した.【方法】1986-2009年のA病院外科における初回手術2523例を後向きに解析した.無症状大腸癌(無症状群)は656例(26%),有症状大腸癌(対照群)は1867例である.【成績】無症状群の頻度は2000年以降も増加傾向が続き1986-1991年,1992-1997年,1998-2003年,2004-2009年の頻度は9.4%,24%,29%,33%である.平均年齢,男女比は無症状群65.4±10.1歳,1.5:1,対照群66.8±11.4歳,1.3:1である.占拠部位別頻度は結腸:直腸で無症状群71%:29%,対照群60%:40%である.無症状群が結腸に多い理由は主に自覚症状の乏しい右側癌をある程度効率よく発見できるためと考えられた.同時に無症状群の進行度は低い例が多く,平均腫瘍径,環周率,治癒切除率は3.0±1.7cm,38±25%,96%であり,対照群は5.4±2.4cm,74±27%,73%であった.Dukes分類による進行程度A,B,C,D別の頻度はおのおの無症状群で57%,19%,20%,4%,対照群は16%,32%,32%,20%であった.無症状群と対照群の累積5年生存率は全例で90.7%(n=656)と66.2%(n=1867),治癒切除に限ると93.7%(n=631)と82.7%(n=1367)であり,いずれも無症状群が有意に良好である(p<0.05).しかし治癒切除されたDukesCに限ると無症状群82%(n=128),対照群73.7%(n=528)と両者に差を認めなかった.【結論】無症状で発見された大腸癌は最近増加傾向にある.比較的進行度の低い例が多いため術後成績は良好である.しかし,大腸癌の治療成績を俯瞰すると,単に無症状群の頻度をさらに拡げることで大腸癌全体の成績向上が得られるかは不明である. |