セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他3)

タイトル 消P-565:

当院における大腸癌狭窄に対する大腸ステント留置例の検討

演者 財部 紗基子(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
共同演者 貝田 将郷(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 岸川 浩(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 荒畑 恭子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 伊藤 麻子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 三好 潤(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 西田 次郎(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】2012年に大腸ステントが保険承認されて以降, 当院で経験した13症例について検討する. 【症例】男性10例, 女性3例. 平均年齢68.4歳(61~87歳). 【部位】直腸3例, S/C 5例, D/C1例, T/C3例, A/C1例. 【目的】術前の減圧目的7例, 姑息的治療目的6例. 【挿入方法】経肛門的イレウス管挿入後2期的挿入2例, 1期的挿入11例. 透視下6例, 内視鏡補助下7例. 全例WallFlex Colonic Stent®22mm径を使用し, 長さは5例で6cm, 6例で9cm, 2例で12cmを選択した. 13例中2例は挿入時の引き込まれのため6cmのステントを2本挿入した. 【挿入後の転機】いずれの症例もステント挿入後2~3日後に食事開始とした. 術前の減圧目的とした7例は挿入後5日~約1ヶ月の間に外科的治療を行った. 外科的治療を行うまでの間に明らかな合併症は認めなかった. 姑息的治療目的の6例は全例約1ヶ月のフォローとなったが, 2例にステント挿入後の穿孔を認めた. 【まとめ】従来, 大腸イレウスに対する緊急処置として, 外科的治療を除き, 経肛門的イレウス管が唯一の対処法であったが, 挿入および留置の煩雑さや, 減圧効果不足, さらに留置後の患者のQOLの低下が問題視されてきた. 大腸ステントを留置する際に内視鏡下に直接観察できない病変の口側を正確に評価することや屈曲の強い部位の立体的な評価, さらに適切なステントの選択などの課題も残るが, 比較的容易かつ安全にステント挿入が可能であった. 大腸ステント留置のみで十分な減圧効果が得られ, 挿入後は全例数日以内に経口摂取が可能となり, 挿入後比較的早い段階(約1~2週間)で退院も可能となった. イレウス管挿入時と比較し挿入後の行動制限などもほとんどなく, 緩和目的としても患者のQOLを上げるという面で十分な治療効果が期待できると考えるが, 一方で穿孔の可能性もあり, 挿入する症例や挿入時期を十分に検討する必要があると考える.
索引用語 大腸癌狭窄, 大腸ステント