セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他4)

タイトル 消P-570:

憩室出血における再出血例の臨床的検討

演者 猪 聡志(昭和大藤が丘病院・消化器内科)
共同演者 黒木 優一郎(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 阿曽沼 邦央(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 楯野 あゆみ(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 高橋 寛(昭和大藤が丘病院・消化器内科)
抄録 【背景】憩室出血は代表的な下部消化管出血の原因である.一時的に止血を得ていても再出血のため,長期入院を要し治療に難渋する症例を少なからず経験する.【目的】憩室出血症例を検討し,その臨床的特徴を明らかにする.【対象】2011年から2012年に憩室出血で入院加療し,経過中に再出血をきたした12例【方法】対象症例の背景(基礎疾患や抗血栓薬の有無)と臨床経過(出血部位,再々出血の有無,ショックの有無,総輸血量,入院期間,転帰など)について検討した.【結果】対象症例は12例,背景は,平均年齢70.3歳(55-84),男女比(10;2),抗血栓薬の有無(8;4),基礎疾患の有無(虚血性心疾患(3;9),不整脈(2;10),脳血管疾患(3;9),高血圧(10;2),糖尿病(3;9),維持透析(1;11)であった.臨床経過は出血部位(右側7,左側5),CF後再出血までの平均時間26.5時間(7-64),再々出血の有無(8;4),ショックの有無(6;6),平均総輸血量4.2単位(0-8単位),平均入院期間16.9日(8-26),転帰としてIVR・手術移行例,死亡例はいずれも認めなかった.また,再々出血の有無で背景・臨床経過を比較した.再々出血例の検討では,一時止血確認後から平均70時間後(42-128時間)に再々出血し,平均入院日数が長い傾向(18.5;14.0)があり,その多く(6/8例)が2週間を超える入院加療を要した.再々出血例では抗血栓薬服用例が多く,出血部位は右側結腸が多く,初回の再出血までの時間が短いなどの傾向が見られた.【考察,結語】憩室出血の再出血例では,1抗血栓薬内服中,2右側結腸が出血源,3初回CF後再出血まで24時間以内の再出血,などの要因を認める場合,再々出血をきたし,長期入院を要する経過をたどる可能性がある.これらのリスクを有する症例では一時止血を得ていても再々出血をきたす可能性があるため,慎重な経過観察が望まれる.
索引用語 憩室出血, 再出血