セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他4)

タイトル 消P-571:

当院で診断された原発性腹膜垂炎13例の臨床的検討

演者 松本 淳(大津赤十字病院・消化器科)
共同演者 松永 康寛(大津赤十字病院・消化器科), 内海 貴裕(大津赤十字病院・消化器科), 森 義治(大津赤十字病院・消化器科), 財間 千景(大津赤十字病院・消化器科), 曽我部 裕子(大津赤十字病院・消化器科), 西田 吉宏(大津赤十字病院・消化器科), 稗田 信弘(大津赤十字病院・消化器科), 垣内 伸之(大津赤十字病院・消化器科), 水口 綾(大津赤十字病院・消化器科), 安村 聡樹(大津赤十字病院・消化器科), 友野 輝子(大津赤十字病院・消化器科), 日高 健太郎(大津赤十字病院・消化器科), 本庶 元(大津赤十字病院・消化器科), 長谷川 和範(大津赤十字病院・消化器科), 近藤 雅彦(大津赤十字病院・消化器科), 西川 浩史(大津赤十字病院・消化器科), 三宅 直樹(大津赤十字病院・消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院・消化器科), 小林 久人(大津赤十字病院・放射線科)
抄録 【はじめに】原発性腹膜垂炎は自然軽快する予後良好な疾患である.近年の画像診断技術の進歩により報告例は増加しているが,発生部位によっては急性虫垂炎や憩室炎などと鑑別が難しく,外科的手術を含めた過剰な治療が行われることもある.そのため,当院で診断された原発性腹膜垂炎13例につき検討した.【方法】2005年1月から2013年2月までに当院で診断された腹膜垂炎13例について年齢,性別,症状,検査前診断,身体所見,WBC,CRP,診断方法,部位,治療,予後について検討した.【成績】年齢の中央値は41歳(28-66歳),性別は男性9例,女性4例.症状は全例突発する腹痛であった.検査前診断は13例中12例が虫垂炎・憩室炎と診断されていた.体温の中央値は36.4℃(36.1-37.7℃)で38℃を超える症例は認めなかった.WBCの中央値は7700/μl(4900-13900/μl),CRPの中央値は0.75mg/dl(0.1-3.8 mg/dl)と正常か軽度上昇に留まっていた.全例造影CT検査が施行され,そのうち4例では超音波検査も施行されていた.部位はS状結腸7例,盲腸3例,下行結腸2例,上行結腸1例であった.治療は抗菌薬投与9例,消炎鎮痛剤投与3例,手術施行例は認めなかった.予後は再診を行った9例全て(抗菌薬投与7例,消炎鎮痛剤投与2例)症状軽快,炎症反応低下を認めた.【結論】腹膜垂炎は比較的若年の男性に多く認め,S状結腸に多く存在した.強い自覚症状と比較して,腹部所見が軽症で,WBC,炎症反応上昇も軽微だった.診断には特に造影CT検査が有用と思われるが,治療は外科的手術や抗菌薬投与は必要なく,消炎鎮痛剤投与のみで自然軽快する可能性が高いと思われた.そのため,過剰な治療を避けるためにも,急性腹症の診療に際し,原発性腹膜垂炎の可能性を念頭に置き,正確に診断することが重要と考えられた.
索引用語 原発性腹膜垂炎, 消炎鎮痛剤