セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他4)

タイトル 消P-572:

難治性腸管ベーチェット病に対する抗TNFα抗体製剤投与例の検討

演者 上村 修司(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 沼田 政嗣(鹿児島大・光学医療診療部), 田中 啓仁(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 小園 雅哉(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 岩屋 博道(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 有馬 志穂(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 田口 宏樹(鹿児島大・光学医療診療部), 佐々木 文郷(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】難治性腸管ベーチェット病 (BD)に対する抗TNFα抗体製剤の有効性は示されているが,長期投与の寛解維持効果や安全性に関する検討は十分ではない.今回,当科において抗TNFα抗体製剤を投与した難治性腸管BDの初期治療効果および維持療法の成績や安全性を検討した.【方法】1995年1月から2013年2月までに,当院で腸管BD 19例の診療を行った.7例に抗TNFα抗体製剤の投与を施行し,効果の評価可能であった6症例を対象とした.男性4例,女性2例,診断時の平均年齢は54歳(34-81歳),病型は完全型1例,不全型5例であった.投与方法はinfliximab,adalimumabともにクローン病に準じた寛解導入,維持療法を施行した.治療効果の判定として,症状消失,CRPの陰性化とmucosal healingを検討した. 【成績】5-ASA製剤とステロイドは全例,アザチオプリンは4例に,前治療として投与歴があった.また,4例は回盲部切除術後であった.6例全例ともPSL抵抗症例に対する寛解導入目的で抗TNFα抗体製剤を使用されていた.投与後,全例が腹痛などの臨床症状は改善し,CRPも陰性化し有効と考えられた.維持投与は6例全例に行われ,平均観察期間は2.8年間(0.2-6.1年間)であった.1例でisoniazidの予防投与終了後に結核性胸膜炎を併発し,抗TNFα抗体製剤投与を中止した.5例は維持投与を継続中であるが,1例は投与開始2年後より2次無効となり,投与量の増量と投与期間の短縮が必要であった.残りの4例は明らかな消化管病変の再発の徴候はなく臨床的寛解が持続され,うち2例でmucosal healingを確認できた.【結論】抗TNFα抗体製剤は,難治性腸管BDに対しても速やかな寛解導入効果を示し有効な治療薬と考えられた.しかし,他の炎症性腸疾患と同様に抗TNFα抗体製剤の治療効果減弱例や結核などの感染に対する対策が必要である.
索引用語 腸管ベーチェット病, 抗TNFα抗体製剤