共同演者 |
八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 斧山 巧(鳥取大・機能病態内科), 川田 壮一郎(鳥取大・機能病態内科), 澤田 慎太郎(鳥取大・機能病態内科), 今本 龍(鳥取大・機能病態内科), 林 暁洋(鳥取大・機能病態内科), 池淵 雄一郎(鳥取大・機能病態内科), 武田 洋平(鳥取大・機能病態内科), 松本 和也(鳥取大・機能病態内科), 河口 剛一郎(鳥取大・機能病態内科), 原田 賢一(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科), 岡田 克夫(鳥取県健康対策協議会・大腸がん対策専門委員会), 岡本 公男(鳥取県健康対策協議会・大腸がん対策専門委員会) |
抄録 |
【目的】下部消化管内視鏡(CS)は大腸癌罹患率,死亡率低下に寄与することが知られているが,検診においてその有用性の検討は十分ではない.今回我々は当科で大腸癌と診断された患者を調査し,CSによる大腸がん検診の有用性と問題点を検討した.【方法】2011年4月から2013年2月までに当科でCSを施行し病理組織学的に大腸癌と診断された101例を対象とし,その臨床病理学的背景を検討した.また,大腸癌の既往,大腸ポリープ,および大腸癌の家族歴を有する例を大腸癌高危険群とした.さらに,便潜血陽性を契機に診断された群(A群:30例),診断契機が便潜血以外の群(B群:71例)の2群間で大腸癌の進行度を比較した.【結果】平均年齢:69.5歳,性別:男/女=65/36例,初回CS例は66/101例であった.診断契機は便潜血陽性/スクリーニング/大腸腫瘍経過観察/有症状=30/38/5/28例であった.診断契機別の高危険群は17(56.7%)/12(34.2%)/5(100.0%)/8(28.6%)例であり,スクリーニングや有症状と比較して便潜血陽性例に多い傾向にあった.A,B群の比較において,平均腫瘍径はA群:22.4mm,B群:33.4mmでありB群で有意に大きかった.深達度(M・SM/MP以深)はA群:23/7例,B群:25/46例で,A群にM・SMが多くB群にMP以深が多い傾向にあった.また進行度(Dukes A/B/C/D)はA群:26/0/2/2例,B群:33/4/14/20例で,A群はほとんどがDukes Aで,B群ではより進行癌が多い傾向にあった.A群の傾向は平成23年度鳥取県大腸がん検診発見大腸癌患者の調査結果とほぼ一致した.【考察】便潜血陽性を契機にCSを行った群でより早期の大腸癌が発見される傾向にあり,現在の大腸がん検診の重要性を再認識した.また,初回CSor高危険群or便潜血陽性=92/101例となり,さらなる便潜血陽性による大腸がん検診の推進と,初回例・高危険群を考慮した内視鏡検診の確立が必要と思われた. |