セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他6)

タイトル 消P-582:

当院におけるIBD患者に対する抗TNFα抗体療法の現状と対策

演者 可児 和仁(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
共同演者 加藤 真吾(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】IBD患者に対し,抗TNFα抗体は有効な治療であるが,そのストラテジーは確立していない.当院にて抗TNFα抗体療法を施行したIBD患者をレトロスペクティブに検討し,治療戦略について考察した.【方法】2006年6月より2012年12月までの間に当院にて抗TNFα抗体療法を施行したクローン病患者71例(延べ)および潰瘍性大腸炎22例につき検討した.【結果】クローン病に対する抗TNFα抗体療法は,インフリキシマブ(IFX)療法が53例,アダリムマブ(ADM)療法が18例であった.IFX療法を施行した53例のうち2次無効をきたした症例は35.3%(19/53)であった.これらの2次無効症例に対する加療として,5例がADMへ変更し,16例がIFXの増量(10mg/kg)を施行した.ADMへの変更を行った4例のうち,寛解維持可能であった症例は20%(1/5)であった.また,IFX増量を施行した16例中寛解維持可能例は88%(14/16)であった.つぎにADMにて加療した16例のうちバイオナイーブ10例, IFX効果減弱6例, IFX不耐例2例であった.ナイーブ症例に対する寛解導入率はナイーブ100%(10/10), 20%(1/5), 100%(2/2)であった.このうち2次無効例は38%(6/16)であり,1例はGMA療法の併用で再寛解導入可能であり,5例は増量を含めたIFX療法の再導入にて寛解可能であった.潰瘍性大腸炎に対するIFX療法は22例に施行した.全大腸炎型:左側大腸炎型:遠位大腸炎型=12:4:6であった.このうち寛解導入率は95%(21/22)であった. その後,不耐例1例,2次無効例7例が出現し,2次無効7例のうち6例にGMA療法を併用したところ,4例が再度寛解導入可能であった.【結語】クローン病に対する抗TNFα抗体療法のストラテジーとして,ナイーブ症例に対し有効なADMを使用し,その後,IFXの導入・増量が1つの方法として考えられた.潰瘍性大腸炎に対する抗TNFα抗体療法の2次無効症例に対する加療にはGMA療法の併用も考慮すべきである.
索引用語 抗TNFα抗体, 炎症性腸疾患