セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他(医療総合1)

タイトル 消P-591:

胸部CTにおける腹部疾患と腹部CTにおける胸部疾患の検討

演者 堀 立明(博愛病院・内科)
共同演者 中村 希代志(博愛病院・放射線科), 楠本 智章(博愛病院・内科), 大谷 英之(博愛病院・内科), 浜本 哲郎(博愛病院・内科), 鶴原 一郎(博愛病院・内科), 周防 武昭(博愛病院・内科)
抄録 【目的】各種画像検査において予期せぬ部位に病変が発見される機会が増加している.今回,胸部の精査目的で施行されたCT検査での腹部病変ならびに腹部CT検査での胸部病変について検討したので報告する.【方法】2003年から2012年の10年間に実施した胸部CT8451例と腹部CT16959例を対象とした.胸部CTにおける腹部臓器ならびに腹部CTにおける胸部臓器の描出能を検討するとともに,各病変を検討した.【成績】1.胸部CTは86%が単純,14%が造影検査であったが,腹部CTでは単純が38%,造影が62%と有意に造影検査が多かった(p<0.001).2.胸部CTでの腹部臓器の描出能を検討すると,肝は15%で全部が描出されたが,85%は一部しかみられなかった.胆嚢は53%で全部,43%が一部みられ,3%は描出できなかった.膵臓は28%で全部みられたが,腎臓は全例一部しか描出されなかった.一方,腹部CTは横隔膜頭部側から撮像するため下肺野,心臓と乳房の一部が描出された.3.胸部CTでの腹部臓器の病変は8451例中3479例(41%)にみられ,肝嚢胞1634例(19%),腎嚢胞1130例(13%),胆石589例(7%),肝血管腫87例(1%)が大部分であった.悪性腫瘍は全体で39例(0.5%)であり,転移性肝癌25例,肝細胞癌7例,腎癌4例,膵癌1例であった.一方,腹部CTでの胸部病変は16959例中2121例(12.5%)と有意に少なかった(p<0.001).内訳は胸水1276例(8%),無気肺396例(2%),心嚢水188例(1%),胸膜肥厚・石灰化165例(1%),肺炎70例(0.4%)であった.悪性腫瘍は全体で26例(0.2%)であり,転移性肺癌20例,肺癌3例,乳癌3例であった.【結語】胸部CT検査や腹部CT検査では目的とする病変以外に予期せぬ部位の病変が発見されるので,撮像範囲すべての所見を拾い上げることが重要である.
索引用語 胸部CT, 腹部CT