セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)その他(腹膜) |
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タイトル | 消P-602:当院で経験した結核性腹膜炎の3例 |
演者 | 寺本 彰(岡崎市民病院・消化器内科) |
共同演者 | 坂野 閣紀(岡崎市民病院・消化器内科), 二村 真(岡崎市民病院・消化器内科), 藤吉 俊尚(岡崎市民病院・消化器内科), 佐藤 淳一(岡崎市民病院・消化器内科), 松岡 歩(岡崎市民病院・消化器内科), 徳井 未奈礼(岡崎市民病院・消化器内科), 内田 博起(岡崎市民病院・消化器内科), 飯塚 昭男(岡崎市民病院・消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】結核性腹膜炎は結核症全体の0.5%~2.6%程度の稀な疾患である.細菌学的検査で偽陰性となることが多いため確定診断に難渋し,治療開始まで時間がかかることがある.培養検査以外にはツベルクリン反応,クオンティフェロン(QFT)測定,腹水中のADAの上昇,画像所見(腹膜の肥厚や腸間膜の肥厚など),CA-125上昇などが診断に寄与すると報告されている.また癌性腹膜炎との鑑別を要するため腹腔鏡下生検を行うことで診断に至る症例も多く報告されている.【症例】当院では2009年5月から2012年11月に3例の結核性腹膜炎を経験した.平均年齢78歳.全症例で腹水,発熱,腹痛の症状を認め,血清CA-125高値であった.腹水の性状はリンパ球優位の滲出性腹水で,腹水ADA高値であった.CT検査では2例で大量の腹水,1例で少量腹水を認めており,全症例で腹膜と腸間膜の肥厚を認めた.2例はQFTが陽性であり,悪性疾患の除外を行い診断した.1例では腹水ADAが高値を示したがQFTが陰性であり,腹腔鏡下生検で肉芽組織を採取し抗酸菌染色で結核菌を認め確定診断を得た.腹水の抗酸菌培養は全症例で陰性であった.抗結核治療により全症例で2ヶ月以内に腹水は消失し,6ヶ月後に治癒した.【考察】結核性腹膜炎は結核菌の証明で確定診断される.当院でも腹腔鏡下生検により診断した症例が1例あった.2例では心不全,慢性腎不全を有する高齢者であり,全身状態から腹腔鏡下生検が困難であった.腹水ADAはメタ解析で結核性腹膜炎に対して39U/Lをカットオフ値とした場合に感度97%,特異度100%と報告されている.今回は培養検査から結核菌は証明されなかったが腹水ADA高値を認め,結核性腹膜炎が強く疑われ抗結核治療を施行した.癌性腹膜炎の症例で腹水ADAが高値を示す症例も報告されており消化管精査などを行い慎重に判断する必要があると考えられる.【結論】結核菌の証明が困難な症例では腹水所見,画像所見,血液検査,臨床症状により総合的に診断することが重要である. |
索引用語 | 結核性腹膜炎, 腹水ADA |