セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他(腹膜)

タイトル 消P-603:

腹腔鏡下腹膜生検が診断に有用であった,結核性腹膜炎3例の検討

演者 上田 渉(大阪市立十三市民病院・消化器内科)
共同演者 宮野 正人(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 大庭 宏子(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 青木 哲哉(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 倉井 修(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 大川 清孝(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 新川 寛二(大阪市立十三市民病院・外科), 貝崎 亮二(大阪市立十三市民病院・外科), 藤原 有史(大阪市立十三市民病院・外科), 高塚 聡(大阪市立十三市民病院・外科), 山崎 修(大阪市立十三市民病院・外科)
抄録 結核性腹膜炎は肺外結核として稀な疾患であるが,時に確定診断に難渋することがある.今回,腹腔鏡下腹膜生検が確定診断に有用であった結核性腹膜炎を3例経験したので報告する.症例1は,70歳代男性.約4か月前から腹部膨満感を自覚し前医にて大量腹水を指摘された.肝硬変等はなく,血液検査,腹部CT検査,腹部超音波検査,上部,下部内視鏡検査を施行されたが,明らかな腫瘍性病変は認めなかった.しかしFDG-PET検査で腹腔内に異常集積を認め,精査加療目的で入院となった.症例2は,60歳代男性.アスベスト肺で通院中腹部膨満感を自覚した.腹部CT検査で腹水貯留を認めたFDG-PET検査で腹腔内に異常集積を認め,腹膜中皮腫も考慮され,精査目的で入院となった.症例3は60歳代女性.糖尿病に対してインスリン療法施行していた.4ヶ月前から腹部膨満感を自覚し,腹部CT検査で腹水貯留を指摘された.利尿剤にて腹部膨満感はやや軽減するも,腹水貯留は残存し,原因精査目的で入院となった.3症例ともに,腹部CT検査では腹水貯留と腹膜のびまん性肥厚を認めた.また腹水中ADAとCA125が高値を示した.来院時の喀痰で結核菌は塗抹陰性であった.結核性腹膜炎が考えられたが,3症例ともに腹水の結核菌塗沫,培養,PCR検査は陰性であった.腹水細胞診で明らかな悪性所見はなく,確定診断目的で3例に対し腹腔鏡腹膜生検を施行した.腹腔鏡検査では,腹膜の線維性癒着と腹膜に1-2mm大の白色小結節が多発し,結核性腹膜炎に矛盾しない所見であった.腹膜生検でもラングハンス型巨細胞,類上皮性肉芽腫を認め結核性腹膜炎と診断できた.3例ともに抗結核薬4剤併用療法を施行し,速やかに腹水の消失を認めた.腹水の結核菌塗抹,培養検査も約30%と検出率は低く診断に難渋する.腹腔鏡下腹膜生検は感度,特異度ともに高く,診断に難渋する症例で有用と考えられた.
索引用語 結核性腹膜炎, 腹腔鏡