セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他(腹膜)

タイトル 消P-606:

消化器癌悪性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注

演者 前田 修(名古屋大大学院・消化器疾患先端研究)
共同演者 安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 石黒 和博(名古屋大大学院・消化器疾患先端研究), 渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大附属病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】悪性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注(CART)は症状緩和に有効であるが,原因療法でないことから多くの症例では繰り返し施行する必要がある.その効果と安全性および施行前後の臨床検査値の変化について検討した.【方法】消化器癌に対して2010年以降に当院でCARTを施行した6例(胃癌5例,虫垂癌1例),計52回について検討した.【成績】CART施行回数はそれぞれ1,2,8,10,13,18回で,一回の腹水排液量は4002±1304ml(1180ml~7210ml)であった.6例中5例は化学療法と並行して施行した.濾過濃縮後の腹水中のアルブミンは38.8±20.8g(6.7~111g)であり,アルブミンの回収率は63.4±22.2%であった.施行前のヘモグロビン値および血清クレアチニン値はそれぞれ10.3±3.1g/dl,0.91±0.36mg/dlであり,翌日には8.9±2.8g/dl,0.78±0.30mg/dlと低下していたが,1週間後にはほぼ前値に回復した.一方で,血清アルブミン値は施行前後でほぼ不変であった.腹水再静注後に全例で発熱がみられ3例ではステロイドの投与を要したが,その他の副作用はみられなかった.【結論】CART施行翌日のヘモグロビンおよびクレアチニン値の低下は,腹水再静注による循環血症量の増加に伴う希釈によるものと推測された.消化器癌悪性腹水に対するCARTは,発熱以外に副作用がみられず安全に施され症状緩和に有効であった.
索引用語 腹水濾過濃縮再静注, 悪性腹水