セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他1

タイトル 消P-609:

保存的治療した孤立性腹腔動脈解離の4例

演者 酒井 滋企(国立東近江総合医療センター・消化器科)
共同演者 藤井 誠(国立東近江総合医療センター・消化器科), 居出 健司(国立東近江総合医療センター・放射線科), 五月女 隆男(国立東近江総合医療センター・救急科), 辻川 知之(国立東近江総合医療センター・消化器科)
抄録 保存的治療で改善を認めた4例の孤立性腹部内臓動脈解離を経験したので報告する.【症例1】40歳代男性.前日より急激に発症した上腹部痛を主訴に救急搬送.単純CTでは腹腔動脈および上腸間膜動脈(SMA)周囲の脂肪織濃度上昇,dynamic CTで腹腔動脈根部に動脈瘤とSMA内腔の狭小化を認め,両動脈の急性解離と診断した.臓器虚血所見なく,ヘパリン持続投与で軽快した.【症例2】60歳代男性.突然発症の腰背部痛を主訴に救急搬送.SMAに壁在性血栓を認め,血栓閉鎖型解離と診断.臓器虚血所見なく無投薬で軽快した.【症例3】80歳代女性.肺癌にて当院呼吸器外科通院中に2日間腹痛認めるも自然軽快した.1週間後の単純CTにてSMAがhigh densityを伴う拡張傾向にあり,腸間膜浮腫も認めた.dynamic CTにてSMA内腔の狭小化を認め血栓閉鎖型解離と診断.臓器虚血所見なく1週間のヘパリン投与,抗血小板薬にて軽快した..【症例4】40歳代男性.喫煙中に突然激しい上腹部痛を自覚し当院受診,dynamic CTにてSMA周囲の脂肪織濃度上昇,SMA内腔の狭小化を認め,血栓閉鎖型解離と診断.降圧剤と抗血小板薬の投与を行い軽快した.【考察】腹腔動脈解離は通常大動脈解離に合併することが多く孤立性の解離はまれとされている.腹圧上昇や高血圧,線維筋性異形成などがリスクとなるが,原因不明も多い.急性腹症の鑑別に挙げるべき疾患であるが,診断例は増加傾向にあり,腹部造影CTが有用である.治療法も一定の見解は得られておらず,抗血栓療法に関しても未だ議論の分かれるところである.ただし,破裂や臓器虚血がない限り,外科的治療は避ける傾向にあり,内腔狭小化に対してステント留置なども選択肢となる.本症例のように保存的加療される例も多いが,動脈瘤を生じる症例等は注意深い経過観察が必要である.
索引用語 腹腔動脈解離, 急性腹症