セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他1

タイトル 消P-612:

SPECT/CTを用いた消化管出血シンチグラフィの診断能の検討

演者 小谷 晃平(大阪市立大大学院・核医学)
共同演者 河邉 讓治(大阪市立大大学院・核医学), 吉田 敦史(大阪市立大大学院・核医学), 東山 滋明(大阪市立大大学院・核医学), 片山 豊(大阪市立大大学院・核医学), 山永 隆史(大阪市立大大学院・核医学), 川畑 英樹(大阪市立大大学院・核医学), 塩見 進(大阪市立大大学院・核医学)
抄録 【目的】消化管出血は日常臨床でしばしば遭遇する疾患群である.上部下部消化管内視鏡検査は比較的簡便に施行可能であるが,小腸出血をはじめとして,すぐに診断と治療に至らないケースも多い.Tc-99m-human serum albumin-diethylenetriaminepentaacetic acid (HSA-D)を用いたシンチグラフィは消化管出血源の精査に用いられる.従来はPlanar像による読影のみであったが,近年SPECT/CTの登場によりRI異常集積の局在診断が可能となった.今回,SPECT/CT併用の消化管出血シンチグラフィの診断能を検討した.
【方法】対象は2009年以降,当院にて消化管出血疑いにて消化管出血シンチグラフィを施行した37例である.Planar像のみで診断した24例(Planar群)とPlanar像にSPECT/CTを追加撮像して診断した13例(SPECT/CT群)について,それぞれの診断能を比較検討した.
【成績】全37例中19例で出血源が認められた.出血源の内訳は,毛細血管拡張症6例,十二指腸潰瘍4例,術後吻合部潰瘍4例,原因不明の小腸出血2例,胃潰瘍1例,NSAIDs起因性多発潰瘍1例,大腸憩室出血1例であった.診断能について,Planar群では,感度70.0%,特異度92.9%,陽性的中率87.5%,陰性的中率81.3%,正診率83.3%であった.一方,SPECT/CT群では,感度100%,特異度75.0%,陽性的中率90.0%,陰性的中率100%,正診率92.3%であった.
【結論】SPECT/CTを追加することで感度は高くなったが特異度は低下した.Planar像でははっきりしない非常に淡いRI集積であってもSPECT/CTで検出可能になる一方,消化管付近の血管内にプールされているRIを消化管への分布として拾い上げ,消化管出血と診断してしまう可能性が考えられた.正診率が高く,より正確なRI集積の局在を知ることができるため,SPECT/CT併用の消化管出血シンチグラフィは有用であると考えられた.
索引用語 消化管出血, シンチグラフィ