セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他1

タイトル 消P-613:

消化管出血に対するIVRのまとめ

演者 加藤 昌子(甲府共立病院・消化器内科)
共同演者 塩沢 敦士(甲府共立病院・消化器内科), 高橋 大二郎(甲府共立病院・消化器内科), 西山 敦士(甲府共立病院・消化器内科), 安田 慎一郎(甲府共立病院・消化器内科), 小西 利幸(甲府共立病院・消化器内科)
抄録 当院は病床数283床の中小病院で,年間の内視鏡件数は上部約6600件,下部約1500件であり,年間の内視鏡的止血術の件数は約100件程度である.多くは内視鏡的止血が可能であるが,中には様々な理由で内視鏡的止血が困難な例があり,それらに対しては次の手段として血管塞栓術を施行している.2008年1月~2013年3月の間に当院において内視鏡的止血困難にて血管塞栓術を施行した30名について検討を行った.症例の内訳は,出血性胃潰瘍4名,出血性十二指腸潰瘍5名,十二指腸憩室内出血3名,小腸出血1名,大腸憩室出血6名,膵仮性動脈瘤6名,胃癌2名,胃悪性リンパ腫1名,胃アミロイドーシス1名,胆管癌十二指腸浸潤1名であった.内視鏡的に止血が困難であった理由としては,露出血管が太かったこと,出血が多く出血点の判定困難であったこと,内視鏡的に止血可能も繰り返し出血する例,小腸や大腸などで出血部位までのスコープ到達が困難な例,慢性膵炎などによる仮性動脈瘤の消化管穿波,腫瘍からの出血などであった.治療後の成績としては,術後再出血のなかった例は25名(83%)であり,術後再出血例3名(10%)止血困難例2名(7%)であった.止血困難例や術後再出血例で再度の血管塞栓術にて止血可能となった例は1例,外科的切除になった例は2例であり,残り2例のうち1例はDIC,1例は多発性骨髄腫が背景にあり出血コントロール不良にて手術も困難で死亡されている.また,術後再出血のない例では腸管壊死などの大きな合併症は認めなかった.内視鏡的に止血困難な消化管出血に対し,次の手段として外科的手術よりも低侵襲な血管塞栓術をまず行うということは,高齢者や,全身状態の悪い患者さんにも比較的実施しやすく,有用であると考えられる.
索引用語 消化管出血, IVR