セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)その他2 |
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タイトル | 消P-615:門脈ガス血症の20例 |
演者 | 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院・消化器内科) |
共同演者 | 長尾 宗政(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 正木 翔(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 中井 敦(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 北村 悟(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 生田 耕三(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 出田 雅子(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 山内 雄揮(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 斉田 宏(兵庫県立尼崎病院・消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的・方法】門脈ガス血症(PVG)は腸管壊死などに合併する予後不良の徴候と考えられてきたが,近年,保存的加療で改善する症例も多数報告されている.今回,我々は当院で経験した20例のPVGの症例について検討した.【成績】平成20年4月から平成25年3月までにPVGと診断された症例は20例(男性4例,女性16例),平均年齢75.4歳(31-98歳)であった.基礎疾患として糖尿病を8例,高血圧症を5例,心房細動を4例,急性冠症候群,悪性腫瘍を3例に認めた.症状は腹痛を8例,嘔吐を8例で認めた.診断は腹部CT検査で行った.原因疾患は腸閉塞4例,感染性腸炎4例,非閉塞性腸管虚血症(NOMI)3例,腸管壊死,十二指腸狭窄,原因不明が2例,幽門狭窄,腸管嚢胞気腫症(PCI),S状結腸癌穿孔による腹膜炎が1例であった.全20例を生存群16例と死亡群4例に分類した.死亡群は腸管壊死2例,NOMIによる敗血症,S状結腸癌穿孔による腹膜炎の症例であり,全身状態が不良で外科的治療は行われず48時間以内に死亡した.生存例は絶飲食,抗生剤投与などの保存的治療で軽快した.死亡群と生存例を比較すると,ショック,Japan Coma Scale(JCS) GradeII以上の意識障害,LDH値の上昇(>300IU/l)が死亡群で有意に多かった.Base excess(BE)の平均値は2群で差が認められたが,白血球上昇,CRP上昇(>5.0mg/dl) ,腹部圧痛の有無には差を認めなかった.【結論】PVGを認める場合,腸管壊死を来した症例では全身状態が破綻する前に外科的治療を行うべきであるが,PVGは様々な原因により発生し,その存在のみが重篤な病態を示唆するものではなく,原疾患と臨床所見を総合的に判断し治療方針を検討する必要がある.今回の検討ではPVGの20例のうち,16例は保存的治療が可能であり,死亡率は20%であった.また,その予後予測としてショックや意識障害の有無,血液検査でのLDH,BE値が有用であると考えられた. |
索引用語 | 門脈ガス血症, PVG |