セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他2

タイトル 消P-616:

当院でのEdwardsiella tardaによる消化器感染症の検討

演者 山本 剛司(公立甲賀病院・内科)
共同演者 西野 恭平(公立甲賀病院・内科), 三好 薫人(公立甲賀病院・内科), 森田 幸子(公立甲賀病院・内科), 田中 愛子(公立甲賀病院・内科), 八木 勇紀(公立甲賀病院・内科), 田崎 和仁(公立甲賀病院・内科), 南部 卓三(公立甲賀病院・内科)
抄録 【はじめに】Edwardsiella tardaは爬虫類では腸内常在菌であり,魚類においてはヒラメのエドワード病,ウナギのパラコラ病の原因として知られている.ヒトへの感染源としては観賞魚,ペットのカメ,ヘビ,ナマズなどがある.我が国の健康保菌者は0.007%と非常にまれであり,ヒトでは常在菌とは考えられていない.我が国では検出されることは比較的まれな菌であり,海外からの報告では80%は消化管感染症と考えられている.最も多い胃腸炎では無治療で軽快する症例がほとんどとされているが,消化管以外の感染症では致死率が高いという報告があり注意を要する.消化管以外の感染症は敗血症,子宮内膿瘍,髄膜炎,腸腰筋膿瘍などの報告があり,感染経路が特定されないことが多い.今回我々は当院で経験したEdwardsiella tarda陽性の9症例の検討を行った.【対象】当院で2008年1月から2013年2月までにEdwardsiella tardaが培養で陽性となった9症例.【結果】年齢は10歳代2例,40歳代1例,60歳代1例,70歳代3例,80歳代2例.性別は男性6例,女性3例.このうち1例では約4年の経過で2度検出された.検体は便3例,大腸粘膜2例,胆汁3例,膿瘍1例,血液2例(1例は血液と胆汁の重複,1例は4年の経過で2度検出を含む)であった.疾患は肝膿瘍2例,胆管炎1例,胆のう炎2例,腹腔内膿瘍1例,虚血性腸炎1例,潰瘍性大腸炎増悪1例,慢性下痢症1例,急性胃腸炎1例であった.薬剤感受性試験では耐性を示した菌はなく,消化管感染症以外では抗生剤投与を行っているが,このうち胆のう炎の1例と腹腔内膿瘍例が致死的となった.【考察】小児での症例を除くと比較的高齢者に多く,消化管感染では予後良好であった.しかし消化管感染症以外での致死率は33%,敗血症を呈している症例では50%と高い傾向であった.消化管感染症を除くEdwardsiella tarda陽性症例は注意を要すると考えられた.
索引用語 Edwardsiella, tarda