セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他2

タイトル 消P-620:

当院で経験した保存的加療で軽快した上腸間膜動脈血栓症5例の検討

演者 三科 友二(上尾中央総合病院・消化器内科)
共同演者 外處 真道(上尾中央総合病院・消化器内科), 片桐 真矢(上尾中央総合病院・消化器内科), 近藤 春彦(上尾中央総合病院・消化器内科), 山城 雄也(上尾中央総合病院・消化器内科), 深水 雅子(上尾中央総合病院・消化器内科), 長澤 邦隆(上尾中央総合病院・消化器内科), 川上 知孝(上尾中央総合病院・消化器内科), 明石 雅博(上尾中央総合病院・消化器内科), 渡邉 東(上尾中央総合病院・消化器内科), 笹本 貴広(上尾中央総合病院・消化器内科), 丸茂 達之(上尾中央総合病院・消化器内科), 土屋 昭彦(上尾中央総合病院・消化器内科), 西川 稿(上尾中央総合病院・消化器内科), 山中 正己(上尾中央総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】上腸間膜動脈血栓症は極めて予後不良な疾患である.外科的治療が主流であるが,近年ではカテーテルでの血栓吸引溶解療法,薬物療法などの保存的加療での改善の報告も散見される.当院で経験した上腸管膜動脈血栓症の5例についてretrospectiveに検討したため報告する.【対象】2003年1月~2013年3月までに当院で経験した,上腸間膜動脈血栓症と診断された5症例.【結果】性別は男性4例,女性1例,平均年齢は65歳(52歳~76歳).主訴は全例で腹痛を認め,4例は嘔吐,1例は血便を伴っていた.全例で心房細動を認めたが,抗凝固療法が行われていた症例はなく,全例が未治療であった.治療は全例にヘパリンの投与が行われており,そのうち1例は末梢からのウロキナーゼの投与が行われていた.確定診断は全例CTにて行われており,腸管壁の造影効果不良2例,浮腫壁肥厚は3例,腹水はいずれの症例も認めていなかった.平均入院日数は24.8日でいずれも軽快退院であった.【まとめ】当院での最近10年間での上腸間膜動脈症例5例を検討したところ,全例が薬物療法による保存的加療がなされており,いずれも軽快していた.全例で入院時に心房細動を認めていたが抗凝固療法がなされていた症例はなかった.【考察】当院での症例はヘパリン投与のみの症例が4例,ウロキナーゼ投与を行った症例が1例であったが末梢静脈からの投与であった.しかしながらいずれの症例も腹部症状の悪化は認めず保存的に改善した.今回の検討では腸管の造影効果不良域や,浮腫,壁肥厚の虚血所見は認める症例はあったが,腸管の全層性虚血を示唆する腸管の菲薄化,門脈ガスを伴う腸管気腫,多量腹水などは認めなかった.これらの所見がなければ保存的加療で経過観察できる可能性が示唆された.
索引用語 上腸管膜動脈, 血栓症